第 11 回

 またまたやってくれました、うちの従業員。ある日、コック長が青い顔をしてやって来ました。「N(コックのひとり)が昨日の夜、飲酒運転バイクで捕まった。」というのです。友達と5人でビールをコップ1杯飲んだだけだというのですが、アルコール検査にひっかかれば、たったコップ1杯でも10本でも同じ扱いなのだそうです。留置所に入れられてしまいました。それも、間の悪い事に友達はみんな逃げてしまい、Nだけが捕まったとの事。Nは普段から真面目でおとなしいので、だからこんな時逃げ遅れてしまうのだとみんなは心配しています。

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 2万Bの保釈金を払えばすぐに出られるそうで、コック長が留置所まで引き取りに行きました。「お金がないとどうなるの?」と聞いてみると、「2日間留置所で、それから警察に出頭する」そうです。警察に出頭せずに逃げてしまうものがいるので、2万Bの保釈金は、出頭したときに返金されるとの事。その時に6500Bを払い、これからの奉仕活動のスケジュールを決めるのだそうです。「2万Bなんてやめて留置所に2日間居させれば?」と意地悪を言うと、あんな所こわくて眠れない、とNは泣きべそをかいていたそうです。「はやく出して…」と。
 これから3ヵ月位、奉仕活動をするというので詳しく聞いてみると、道路掃除とか小学校の雑役とかいろいろあるみたいです。1日に2~3時間を週に1~2回というので、「面倒だから1日10時間位を毎日やればすぐに終わるでしょう?」というと、それは認められないそうです。毎日担当者にサインをもらい、小さなノートみたいなのに何ページもいっぱいになるまで続けるのだそうです。なるほど、こんなやり方もあるのか!なんとなく子供向け更生プログラムみたい。タイならではの方法だと思います。日本では無理です。金髪の暴走族やこわいお兄さんなんかが、まとまって道路掃除をしているところを想像してみて下さい。ムリムリ。 

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 タイの子供たちにとって、警察はとてもこわい所みたいです。日本で言うところの「地域のおまわりさん」的な存在じゃないようです。まぁこれに懲りて、もうNは2度と飲酒運転バイクはしないでしょう。
 従業員が「ミーバンハーニッドノイ(ちょっとお話が…。)」と言ってくるとドキっとします。そして思わず日本語で叫んでしまします。
「今度は何?何やったの?」