第 15 回

 8月12日は、クイーンズ・バースディで祭日でした。タイではこの日が『母の日』です。お母さんと子供とで出かけると、乗り物は無料になったり、食事の後にサービスのお菓子が出たり、この日1日はお母さんがとっても幸せな日です。タイでは本当にお母さんを大切にします。家族で食事に来られるタイ人を見ていると、入口の段差では、すかさず手を貸して母親を支える男性を良く見かけます。また、母親が先に来て息子さんを待っていると、息子の方は入口からワイをして、にこにこしながら入って来られます。いいですねぇ、心のなごむ瞬間です。
 とにかく家族の真ん中に母親が居るという感じです。『母の日』1日だけの事ではなく、日々の暮らしの中に、母親への愛は根付いているのです。日本で見かけますか?20~40代の男性が、母親の手を引いたり、荷物を持ってあげたり、そんな風景を私は見たことがありません。はずかしい…と男の方は言われるかもしれませんね。「タイ人はマザコンだ」と言う人がいますが、当たっているところもあります。たぶん…。でも、年輩者を大切にするということは素晴らしい事です。私は大好きです。その優しさ。
 そして8月12日は、私が突然10人以上の子持ちになる日でもあります。仕事が終って帰宅しようとしているとき、従業員の子たちが、いっせいに床に跪いてポワンマライを私にくれるのです。ポワンマライというのは、みなさん道端で売っているのを見たことがあるのではないでしょうか?ジャスミンの花を針金でたくさん刺して丸い輪にしてある、あれです。タイで母の日には、日本で言うカーネーションみたいに、ポワンマライを感謝のしるしとして贈るのです。この日はポワンマライが急に値上がりするそうで、バレンタインデーのバラと共にお花屋さんの稼ぎ時だとか。
 うちの従業員はほとんどイサーンから来た子たちで、私を「第二のお母さん」と言います。大人ばかりですからお母さんと呼ばれるには、ちょっと抵抗がある子もいます。反対におばあちゃんと呼ばれる方が近い子もいます。(だってその子のお母さんは32歳!)みんなが床に跪いて、私にワイをしながらポワンマライをくれるのです。これぞタイ!毎年この1日は、私にとってひとつの区切りです。1年間同じ顔ぶれで、無事に過ごせた…そのことに感謝の日です。ハットリの従業員は本当に長い子ばかり。10年以上の子もいます。2~3年は普通です。みんな私の家族です。もちろん頭に来て暴れることも(私がです!)あります。1年に2回位キレて怒鳴る事もあります。でもいつもは片目をつぶるようにしています。日本人だって同じでしょう。親が見ていなければ隠れて悪い事をする。タイ人も同じです。だから両目を開けて見ない。片目だけで見て見ぬ振りをする。そんな風にしてやって来ました。ここまでは許そう、ここまでは怒らないでおこう、その加減が難しいです。そしてその結果が8月12日、ポワンマライになって私に帰ってきます。今年も無事に過ぎました。
 おかげ様でなんとかハットリは「安タイ」です!

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