第 24 回

 暑い日々の中、クーラーをかけながら〝おめでとう〟を言う生活にも慣れました。思い起こせば、この二十数年、いろいろなお正月を、ここタイで過ごしてきました。あの頃は、日本人もこんなに多くはなかったし、日本料理屋さんもそんなにたくさんなかったので、お正月の行動は限られていました。20年前の話です。今はもう無いのですが、アソークに『赤門』と言う日本料理のお店がありました。古い人たちの間では、知る人ぞ知る有名店でした。私たち家族は良くそのお店に食事に行き、板前さんから苦労話を聞かせてもらったものです。あの頃は日本米などは無いので、タイ米をいかにおいしく日本風に炊くか、タイ野菜をどうやったらおいしく食べられるか…。そんな話をしながら、カツ丼を食べたりしたものです。
 あるお正月の事です。日本から義姉や甥っ子たちが遊びに来ていて、「お正月はやっぱりおせち!」ということになり、赤門に出かけました。そこで、お赤飯やお雑煮、おせち、盛り沢山のお正月料理を前に、楽しく過ごしていました。すると、となりの席からなにやら声が聞こえてきました。「正月の雑煮言うたら、白みそと違うんか?」(私の関西弁は正しくありません、念の為!)あれ、どこかで聞いたことのあるような声…。すると、義姉がこそっと言ったのです。「あの人、〝チューリップが開いた〟って歌うお笑い系の人じゃない?」若い人たちは知る筈がないですよね。これが今から20年前の話として、それより前の歌の話ですから。「チューリップが開いた、って童謡?」「違う違う、なんか関西の方で流行ってるらしいよ。パチンコ屋の前を通るとよくかかってるって。」これだけで誰か分かった人には賞品を差し上げます。
 それから何年も経って、私はその男性をテレビで見ました。彼はマラソンをしていました。『間寛平』という名も知りました。そしてあの時に彼が言っていた、白みそのお雑煮を今年初めて食べました。ちなみに、私の出身は関東ですから、お正月のお雑煮と言えば、おすましです。フジスーパー2号店の3Fにあるプロシェットというお店の女性オーナーさんとお友達なのですが、今年のお正月に自分の店は休み(!)プロシェットへ食事に行きました。そこで、本来はメニューにない〝お雑煮〟を特別に作ってもらい、お正月らしさを心から楽しみました。彼女は関西出身です。その時のお雑煮が、白みそだったのです。20年前に間寛平さんが言っていた『白みそ』とはこれだったのか…。長い間の疑問が解けました。お雑煮ひとつとっても、場所によってこれだけ違うのか…、と驚きました。日本は広いですねぇ。「お雑煮が白い?」なんだか、たったこれだけの出来事で、私は20年前にタイムトリップして、しばらくぼぅーっとしていました。間寛平さん、お元気でしょうか?
 ハイ、これが私、服部の2012年のお正月でした。皆様のお正月はいかがでしたか?とにかくスタートしました2012年。良いことがたくさんありますように?

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