第 28 回

 今回のベトナム行きは、はじめから何か悪い予感がしていました。いつもの車が空港へ向かう途中でエンジントラブル。「すみません、タクシーに乗り換えて下さい。」と言われ、仕方なくその場からタクシーを拾い、空港へ。こんなこと初めてでした。ホーチミンのいつものホテルで「満室です。」だと!「じゃ、なんで予約受付けたの!!」フロントがにやりと笑い、「隣に新しいホテルをオープンしました。同じオーナーです。そちらへどうぞ。」星が2つか3つの中級ホテルで場所がいいし、10年位使っているホテルなのでまぁいいか…と、隣へ移りました。まだ所々工事中。これはタイでも慣れっこですからマイペンライ。部屋を見せてもらったら狭い。でもバスルームが広く、なんとジェットバス付き。これはいいぞ…。夜はゆっくりお湯に浸かろう、と思いました。とにかく今はザッとシャワーを浴びて仕事に出掛けようと、服を脱ぎ裸になって、あらら…、水が出ない。また服を着てボーイを呼ぶと、ぞろぞろと若いボーイが来て、あーだこーだと騒いでいます。しばらくして「大丈夫です。」と言うので、また裸になってシャワーを浴びていて、ちょっと暗いなぁと思い、壁のスイッチを押すとブワァーブワァーと非常ベルが鳴りだし、またまたボーイ達が駆けつけ、ドアをドンドンと叩くのです。でも私は裸で、もう面倒だ!!と無視していたら、諦めて帰って行きました。でも、本当に何かあったらどうするんだろう?ここで諦めてもいいのか??なんかフクザツ…。それよりなにより、このスイッチは何なのだ!!何も書いてない、ただのスイッチ。バスルームのドアの横に付いていたら、普通明かりだと思うだろうが…。私が2泊する間に、この非常ベルを3回聞きました。よかった…、私だけじゃなくて。そんなこんなで、疲れ果ててしまいました。そして夜、ベトナムの友人達と食事をしました。その時知ったのですが、ホーチミンのカラオケは、公安警察が入って2週間閉めていたのだそうです。「何がいけなかったの?」と尋ねると、みんな「よく分からない。」と答えるのです。女性が隣に座っているのがいけない…という意見。それなら立っていればいいのか?歩いていればいいのか?ベトナムのカラオケ事情はタイとはちょっと違うので、なんとも言えないのですが、女性の膝に触ってもいけない、と言うのが建前だそうです。そして今回は「歌を個室で大声で歌うのがダメらしい」との情報があり、オープンしてもボリュームをしぼって恐る恐る…、という状態でした。席に戻ると、店員さんがおずおずと布のバックを差し出して「おきゃくしゃまにおねかいがありましゅ」と言うのです。「何?」と尋ねると、もし公安警察が入ってきたら、カラオケの選曲をするハンドマシーンみたいなやつを、このバックに隠して逃げてほしい、という事らしい。「このキカイたかいでしゅ」公安に没収されたら困るということです。「まかせとけ!」一緒に行った友人達は、片手にバックを握り締めて歌っていました。そこまでしてカラオケしたいのか??もし歌っていて、公安警察がどかどか入ってきたら、ちょっと怖いかも…。私は早々にホテルに帰り、楽しみにしていたジェットバスに浸かろうとしたけれど、〝電気系統の故障で使用が出来ません〟でした。トホホ…。なんとなくイヤな予感のベトナム行きでしたが、帰りの飛行機が1時間以上遅れた時は、〝もうどうにでもなれ〟状態でした。でも1時間10分で帰れるのに、1時間半遅れたらアナウンスくらいしてよね!!今頃タイに着いてるじゃない!と内心は結構怒っている私でした。
そして、やっと飛び立って帰泰。窓の下にタイの光が見えてくると、私はいつも体中がほっとします。あー、帰ってきた。タイはいいなぁ…。 (はっとり)

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