第 33 回

 風が吹き始め、雨がザーッと来ると、「オッ!来た来た」と心がちょっぴりうきうきします。これぞ南国のスコールだと、来タイしたばかりの友人に教えます。このところ、シトシトジメジメと日本の梅雨時のような雨の降り方にうんざりしていました。ザーッと降ってパッと上がる。その後はぬける様な青空が広がっている。これがタイの雨期の正しい姿でしょう。シトシト雨は大キライ!
 20年位前に、オリエンタルホテルのガーデンカフェでお茶をしていたときの事です。風が吹き始め、遠くの空が暗くなりました。するとボーイさんがさっとやって来て、「あと5分で雨が降ります。部屋の方へ移動して下さい。」と言いました。試しに時計を見ていると、ホントに5分で豪雨です。タイの人は雨時計(?)を持っているのかと、びっくりしたことを覚えています。
 あの頃のタイの人たちは、傘など持って歩きませんでした。雨が降ったら、止むまで軒下で雨宿りが普通でした。小降りになるとバイクの人たちは、どういう訳かみんな頭にスーパーの白いビニール袋をかぶって走っていました。少し待ったらパッと雨が上がり、青空が広がります。空気もきれいになり、みんな何事もなかったかのように、いっせいに歩きだします。
 こんな普通の景色がこの頃は見られなくなったような気がして、少し寂しいです。なぜか、メリハリのないシトシト雨が続きます。今の子たちが大きくなっても、あのオリエンタルホテルのボーイさんのような雨時計は持てないだろうなァ…。こんな風に、少しずつ色々な事が変わっていく。20年という時間は、確実にタイという国を変えたんだと、ちょっぴり寂しかったりする今日この頃です…。
 さて、うちの従業員のTの、その後の御報告です。バイクの飲酒運転で捕まって、やっと諸々の手続きが済みました。未成年だからなのか、健康チェックまでしてくれて、タイの警察もなかなかじゃないですか!これから世のため、人のため、何十時間かの『ご奉仕』が待っています。道路掃除とか、小学校の校庭掃除とか。「時々仕事を抜けるけど、ごめんなさい。」と殊勝なことを言っています。「いいよ。いいよ。とにかくお世話になった人たちに恩返しのつもりで頑張りなさい!!。」などと、立派なことは言いません、私。「あんたが抜けて周りが迷惑するのわかってる?ジョーダンじゃない。しっかり給料から引くからね!!。」と、心の中で叫んでいる私でした。ごめんよ。まだまだ、人間が出来てなくて。  (はっとり)

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