第 34 回

 タイ語がもっとしゃべれたらいいなァ…と思います。こんなに長い時間タイに住んでいるのに、私はタイ語がダメなのです。忙しくて学校に通う時間がなかった…とか、日本人と接する仕事ばかりで、タイ語をあまり必要としなかった…とか、言い訳はたくさんありますが、つまるところ、怠け者だったのです。活字中毒で、本がないと夜眠れない。何もなければ電話帳でも読んでしまう私が、なぜか勉強となると、突然眠くなるんです(まるで小学生ですが)。ですから、従業員との会話など、そばで聞いていると、かなり笑えると思います。従業員の子たちは、私のタイ語を〝パーサー スクムビット(スクムビット語)〟 と言います。そして、なぜか理解してくれるのです。でも、それは5年、10年と働いてくれている子たちだからで、新人さん達は私のタイ語に固まってしまいます。ショールームの子たちは長いので、だいだい私の言いたい事はすぐに理解してくれますが、問題は、喫茶・BBQの方です。お客様が、「ごはんひとつ、お茶碗7分目でお願いします。」と仰ると、私が通訳するのですが、「お米700粒!」これで古い子たちはさっと動くのですが、新しい子はただただボーゼン…(以前にお茶碗のお米は1000粒位か?とみんなで話したことがあったのです)。「日本酒、人肌でね。」などと言われると、私でさえ「?」です。何度なのだ、人肌って…。とにかく、従業員には「マイローン、マイイェン(熱くなく、冷たくなく)」などと訳の分からない事を言って、「それなら、何もしなくていいのか?」と逆に問い詰められてしまいます。そこで、従業員の掌を私の腕にのせて、「これ位の熱さだよ。」「あー、わかった。〝ウン〟だ。」「あ、そう、ウンって言うんだ、ぬるいのは…。」そんな会話が毎日です。先日、ショールームに観光のお客様が団体でいらっしゃった時のことです。お一人のTシャツに『純心』と書いてあり、うちの子に「あれはどういう意味?」と聞かれて、ウーンと唸ってしまいました。お客様も興味をもたれて会話を聞いておられます。なんだかんだと長々と言ってみましたが、みんなに「たったこれだけなのに、そんなに長いの?」と疑わしそうに見つめられてしまい、苦し紛れに「チャイディー」と訳すと、みんな納得したみたいです。これってちょっと違う気がするけれど…?まァ、いいか。お客様が「外国人受けすると思って、わざわざ探して買って来たんだよ。」と日本語Tシャツを自慢されるのですが、出来ましたら、『これぞ江戸っ子の心意気』とか、『宮中御用達○○屋の甘味』とか、そういう難しいのはやめて頂けないでしょうか…(笑)。『浅草』とか、『大阪』なんかはいいですねェ、分かりやすくて。通訳するにも『アサクサ』『オオサカ』でOK。『人生捨てたもんじゃないよ』これには困りました。『諸行無常』『大和魂』『一期一会』、こうなると手も足も出ません。だいたい日本語での説明だって大変なのに、タイ語で、言葉の裏にあるものまでどうやって表現すればいいのでしょうか?だから、『純心』は『チャイディー』『宮中御用達○○屋の甘味』は、『カノム○○ アロイマーク』となるのです、ハットリでは!こんな私に教えられて可哀相なうちの子たち。ごめんよ、もう少し私のタイ語が上手だったらよかったのに。でもね、もう勉強するのは嫌なんだよ。疲れるんだもの…。この年で、未だに試験の夢にうなされることがある私は、異常でしょうか??皆さんはそんな経験ありませんか…。  (はっとり)

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