第 38 回

 先日、プラトゥーナムからタクシーに乗った時のことです。「お客さん、中国人?韓国人?日本人?」まぁ、お定まりの質問からスタートです。「あぁ、おしゃべりな運ちゃんとぶつかったか!」と内心ウンザリです。だって、ひどい時は一時間しゃべりっぱなしのことがありました。それも、こちらの相づちを要求してくるので大変です。寝たふりをしてもダメです。「チャイマイ?」と大声で繰り返すので、「チャイ(そうだよ)」と「ラー?(あ、そう?)」とを使い分けてテキトウに相手をするのですが、とにかく疲れるのです。本当は目をつぶっていろいろ考えたい。でも、これも「草の根外交」っていうやつかもなァと思い直し、世間話を始めます。「一か月いくら位稼げるの?」と私。日本人はお金のことを初対面の人に聞いたりするのは、とても失礼なことだと思っています。(少なくとも、私はそんなふうに育ちました。)ですから、はじめの頃、タイ人が「それ、いくらしたの?」とか、「日本ではいくら位の家に住んでたの?」なんて平気で聞いてくるのが驚きでした。親しい人ならまだしも、名前さえ知らない人からお金に関して聞かれるのに慣れていませんでした。けれど、長いタイ生活で、私はタイにはタイの付き合い方があるのだと学びました。ですから、始めのタクシーの話に戻って、「一か月いくら稼げるの?」の質問は、それ程無礼ではないのです。「レンタル代が○○バーツで…。だから、一日○○バーツ位稼げるよ」そんな話をしながら、私はタイの人たちの生活を少しずつ知っていったのです。
 しかし、この日のタクシーの運転手さんは一筋縄ではいきませんでした。「ねぇ、あなた奥さん?何番目の?日本人は奥さん、何人までOK?」などと、とんでもないことを聞いてきました。石油の国の人じゃあるまいし、何言ってるのよ!「あなたは何人奥さんいるの?」と私が聞くと、「イヤー、三人目を探してるんだよ。」だと!「だって、あなたの稼ぎが○○バーツだって言ったでしょ。そんなにたくさん養えるの?」と聞くと、「ちゃんと働かせてるよ。でも、毎月お金は渡すよ。一人目は三千バーツ、二人目は四千バーツ。」「ちょっと待って。一人目がどうして少ないのよ。ナンバー1は、ナンバー2より多いのが普通じゃないの。」「だって、ゲーレーオ(年とってる)だし、二番目の方がスワイだから…。」ちょっときまり悪そうに彼は言ったのです。あー、頭に来る!まったく、男はこれだから…。なんて、よその国の知らない奥さんに同情したり、腹を立てたり…。気が付いたら渋滞もどこへやら、スクムビットにたどり着いていました。こうして私は、ちょっとずつタイに受け入れられていくのかなァ…と思います。
 何か大きな事件があった訳でもなく、ただ平和な時間が流れていく。この時間を私は大切にしたいと思います。それにしても、〝ゲーレーオ〟だから、〝コンスワイ〟より千バーツ少ないって…。これは正しい評価なのか??未だに私は疑問です!!でも、でも、本当はあのおじさん、すごくいいやつなのかも…。  (はっとり)

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