第 46 回

                
 ちょっと日本に帰ってきました。たまに帰国すると、日本の良いところと悪いところがはっきり分かって面白いですね。例えばトイレ。自宅ならともかく、駅でもデパートでもホテルでも喫茶店でも、スイッチやら押しボタンがたくさん付いたウォシュレットばかり。便利だけれど、ちょっと困ったこともありますね。まず、水の流れる音が出るタイプ。シングル部屋で自分独りしかいないのに、なんであんなに律儀に音を出すんですかね? そして立ち上げると勝手に水を流してくれる。ちょっとやりすぎじゃないの?なんて思います。 
 友人は、自宅のトイレがこの勝手に流れるタイプなので、それに慣れてしまって、他で流し忘れを何度もやらかしてヒンシュクをかったと嘆いていました。使用後に水を流す場合も、衛生陶器メーカーによってボタンの位置が違うので迷ってばかり。それでも書いてあればいいけど、何もサインが無くて壁にボタンがひとつだけあるタイプは「何が起こるんだろう、非常ベルが鳴ったりしない?大丈夫だろうか」と、押すのに勇気がいります。 トイレの床が水でビショビショという場面に何度か遭遇しましたが、きっと間違って違うボタンを押してしまい、水がピューッと出てしまったんでしょうね。街の不特定多数の人達が使用するトイレで、ここまで必要なんでしょうか。ましてや外国人旅行者の多い場所では逆に使いづらいのでは・・・。
 私は長いこと日本を離れているので、常日頃の変化に付いていけないこともあるけれど、それでも年に1回は帰国しています。その私がとまどうのだから、初めての人やお年寄りは大変だろうなぁ・・・と、つくづく思います。それともこんな私がヘンなのでしょうか?
 東京の浜松町駅で、コインロッカーにバッグを預けようとしたら、コインを入れるところが見つからない。隣にいたおじいさんも首を傾げながらキョロキョロしていました。二人並んで「どこにお金を入れるんでしょう???」と途方にくれていたら、茶髪のお兄さんが『スイカ!』と言って通り過ぎました。「スイカ?ちょっと季節はずれだよねぇ」と隣のおじいさん。私は「今、タイに住んでいるんですけど、スイカは1年中食べられますよ、一度遊びに来られては?」と、完全に普通に、遅れをとった的外れの会話。笑える人は今時の人です!
 電車も地下鉄もキップを買う人が少ない。その答えは『スイカ』。でも、初めての旅行者や10年ぶりかで帰国する人、たまに東京に出てきた人達は、切符を買う事しか方法がないわけで、販売機にお金を入れるところがなければ、どうすればいいんでしょうか。なんか、私の育った東京が逆にどんどん不便になっていくような気が・・・。
 私は渋谷で育ったのですが、今やその渋谷は中高生の街になってしまいました。なんとかいうタレントが始めたらしいのですが、この冬はヒョウとかウシとか犬とかウサギとか、動物の年だそうです。帽子やヌイグルミや、シッポや手足など動物の一部分を体につけた子がウジャウジャ歩いています。
 でも、元気なお年寄りもいます。私の実家へは京王線を使うのですが、リュックを背負って高尾山へハイキングに行くお年寄りが結構います。そんな時、席を譲ろうかどうしようか迷います。早朝に成田に着いて眠いし、寒いし、疲れています。明らかに70才以上の集団は、リュックに登山靴で元気そのものです。周りの若者も席を譲ろうとはしません。私はドキドキしながら座っています。こうしてみると今の日本は中高生の若い人たちと、お年寄りが元気な国ですね。そしてその隙間にいる人達の元気が見えてこない。この冬も厳しい季節になりそうです。日本よ、ガンバレ!と、そんなことを思いながらタイへ帰ってきました。今年も、もうおしまい。この1年間もHATTORIをかわいがって下さって本当にありがとうございました。どちら様も良いお年を!  (はっとり)

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