第 47 回

  明けまして おめでとうございます。
 クーラーのなかでのお正月も20回以上になると、これがあたりまえで、テレビに映る日本のお正月が「あ~、寒そう!」となってしまいます。
 さて、またまた珍客のお話。タイ人のおばあさんが、店の入り口の1段をやっと昇ってヨタヨタしながら店内に入ってきました。店員には目もくれず、お客さんのところへ一直線。そして「私は年寄りで、お金がなくて体も悪い、だからお金をください」と手を出しました。タイ語がよくわからない日本人のお客さんは、あっけにとられています。タイ語のわかるお客さんは首を横に振っています。私があわてて従業員に外へおばあさんを連れ出すように言うと、まず女性従業員がおばあさんの所へ行って「ダメです、お店の中でそういうこと(物乞い)はできません」ところが、敵もさるもの、聞こえないふりをしてどんどん店のずっと中まで入ってきます。今度は男性従業員が行き、10バーツを手に握らせて店の外へ連れ出しました。あとから聞いたところ、このおばあさんは2度目だそうで、最初の1度目は言葉がしゃべれず、ツエをついて来たそうです。そこで優しいタイ人のこと、みんなでお金を出し合って助けたらしいのですが、おばあさんがヨロヨロと店を出て行ってすぐ、うちのショールームの女の子がバナナをあげようと追いかけて外に出たら、おばあさんはツエを小脇に抱えてスタスタと、もう遥か彼方まで歩いていたんですって! 「あ~やられた!」と皆んな口では言っているけど、基本的にお年寄りに優しい彼ら。20バーツをタンブンしたと思えばいいさ…、そんな雰囲気でした。1度目は。ところが今回はさすがにみんな甘い顔はしませんでした。前回はしゃべれないふりだったけど、今回はしゃべっています。ガンとして出て行かないおばあさんだけど、手荒なことはできません。10バーツで外に出させてから観察していると、近所の店へ入り、すぐ20バーツ札を数枚握りしめて出てきました。そしてすぐに次の店へ…。これって結構いい商売なのかも???
 はじめての人はだいたい全員がタンブンするでしょう。うちのように、従業員が長く働いている場合は、1年前に来たおばあさんを覚えているけど、普通は新しいスタッフに変わっていたりして、何度でもできる商売です。現に隣のお店では、同情的にたくさんタンブンを施したそうです。でも、だからといって、その方達が、おばあさんのインチキを声高に責めたりはしない。タイの優しさがこんなところにも出るんでしょうね。うちの従業員達は、「本当にかわいそうなら助けます。でもウソは良くないよね」と言いながら笑っています。騙されても笑って済まされる金額、これがチューアイ(助ける)の基本で、大切なところでしょう。
 こんなほのぼの心地良さに甘えて、今年も1年、頑張っていこうと思います。1年なんて、あっという間の短距離走かも。さあ、元気よくスタートしましょう! 

今年もHATTORIをどうぞ宜しくお願いいたします。  (はっとり)

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