後世に伝えてほしいもの

 家族連れのお客様で、小学生の男の子がカッコイイ帽子をかぶっていました。「ねぇ、それどうしたの?すごくカッコイイね。寅さんみたいだね」と私は嬉しくなって言いました。我が愛するフーテンの寅さんがいつもかぶっているあの帽子にとても型が似ていたのです。私はあの映画は全部観ています。(初期の頃のものはビデオですが)30年以上前にアメリカからの飛行機の中で、フーテンの寅さんを上映しているのを観た時は嬉しかったです。昔ですから各自の席についている小さな画面ではなく、大きなスクリーンに寅さんが写った時は(あぁ、あなたも国際的になったものだねェ)と心の中で叫んでいました。白人の人達と私とでは笑うタイミングが微妙にズレている様な気がして、帰国してから訳本を探しました。ありました!台本を日本語と英語と並べて書いてあるので、(なるほど、ここはこんな風に表現するのか・・)とすごい勉強になりました。「この映画は日本の古き良き時代そのものだ。日本人の心、義理、人情、素晴らしいものがたくさん詰まっている。それは外国の人達にもまっすぐに伝わる事だろう。」という様な事が書かれてありました。
 さて、その小学生ですが帽子が似合っていて、私の頭の中で(ラ、ラ、ラ~ラ、ラ~ラララララ~)とあのテーマ曲が流れ「あ~寅さんだァ」と言ってしまったのですが、その男の子がひと言「寅さんって何する人?」「う~ん、え~と、旅する人」この私の答え間違ってます?自信無いけど・・今の子供達は寅さんも知らないという現実にちょっと落ち込んだ私でした。「10年ひと昔」というけど本当ですね。おニャン子も光GENJIも大昔の人なのですね。今、世の中に怖いものなしの、Aなんとか(女の子がたくさん歌って踊る団体)だって10年後、20年後は{何する人?」って言われてしまうんだろうなァ・・今だって私には誰だかわからないもの。
 うちの店は夜の焼き肉タイムにはビートルズしか流さないと決めています。常連の白人さんは音量が小さいと「今日のビートルズはどうした?」と聞いてきます。これから先、どれほどの時が流れても「良いものは良い」という単純だけれど難しい現実が後の世に受け継がれていけばいいなァと願います。
 さて、10年後、20年後、50年後、人々の心を魅了し続けているものがどれだけ残っているのでしょうか?うわべの華やかさではなく、中身の濃いものだけがきっと生き残っていくのでしょうね。ビートルズの「イエスタディ」が音楽の教科書に残るように。
 願わくば私の寅さんもずっとずっと後の世まで人々に忘れられずにいてほしい・・と。男の子の帽子を見ながら、つくづく思った私、服部でした。 (はっとり)

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