待ってるから、元気でね!

 変わりのない毎日の様で、何かしら少しだけ変化があります。
 私のお迎えバイクのTが、とうとう2年間のタハーン(軍隊)ご奉公に行ってしまいました。Tがうちに来た時、まだ16才位の子供でした。でも、小さい時から苦労しているからか、何となくおじさん臭くて、12才も年上の彼女がいて、落ち着いた男の子でした。
 バイクの飲酒運転でトンロー警察に泊められた時は、水と食べ物と保釈金を持ってとんで行ったものです。あの時、「二度目はないよ」と脅したら「ごめんなさい・・・」と目に涙をためてポワンマライを差し出したT。やっぱりまだ子供。警察がすごく怖かったみたいで、少し大人しくなりました。
 そんなTも5年目です。とうとう『赤』を引いてしまいました。(編集部注-タイの徴兵はくじ引き制で黒は免除ですが、赤を引くと2年間の兵役が科せられます)今まで『HATTORI』のキッチンはとてもラッキー(?)な事に、黒を引いたり、身長が足りなかったり、胸囲が細すぎたりで免除ばかりが続いたのですが、2年前にLが大当たりで,2年間無事おつとめを果たし帰って来たばかりです。そして今度はT。昨日がとりあえずTの最後の日でした。私が座って仕事をしていると、Tがおずおずとポワンマライを差し出し、床にひざまずいて「2年経ったら帰ってきます。又働かせて下さい」と言うのです。「本当に帰ってくるの?それなら待ってるから元気でね」と私が言うと、Tは頭を垂れて泣いているのです。あのふてくされ屋のTが!私はこんな場面に弱いので、どうしていいのか分かりません。日本ではまずない事です。若い男の子に泣かれるなんて…!
 Tは仲間に言ったそうです。「おれはHATTORIが大好きだから、又働きたい。クンメーも(私の事です)大好きだから待っていてほしい」と。なんだか背中がかゆくなる様なセリフだと思いませんか?でもタイでは有りです。こんなクサいセリフも、涙も。だからやめられないタイ生活!
 これは蛇足ながら、Tのいない穴埋めに、洗い場の男の子を募集していますが、8人電話があり、それも全部ミャンマー人。そしてやっと一人、タイ人の21才の男の子が新しくやって来ました。私は言ったのです。「仕事は平日にスタートさせるように」と。今までに土日にスタートした子は全員月曜には来ないのです。土日は忙しすぎて新人に気を使えないし、とにかく疲れるから慣れない子はヘタリこんでしまうのです。他の子たちは全員5年以上のベテランなのであと一人が難しい。それなのに、今回は日曜日にスタートしてしまった彼。これを書いている今日は火曜日。ハイ。彼は来ていません。連絡なし。だから言ったでしょうに!スタートは平日だって…

(はっとり)

h71