赤ドレス集団がやってきた!

 いや~驚きました。これだからタイ生活はおもしろい!
 ある日の夕方、店の前に白人さんと黒人さんがワラワラと集まってきたのです。その数50人はいたでしょう。なぜかうちの店と隣の魚屋さんの店の前が集合場所になっているらしく、どんどん人数が膨れ上がってきます。それだけでも不気味なのに、さらに彼らは全員赤いドレスに着替え始めたのです。ほとんどが男性、しかもあまり若くない方々ばかりです!それが路上で裸になり赤いドレスに着替えているのです。(女性もいましたけど)想像したくない絵ですよねぇ…そちら系の人達かとも思いましたが、何人かはドレスをどうやって着たらいいのか解らずに、体に絡まってミノムシ状態で私に助けを求めてきたので、日常にはドレスを着る習慣は無いみたいでした。(よかった!)あまりに堂々と着替えているので、私も好奇心を抑えきれずに「何をしているの?」と尋ねてみました。すると彼らが言うにはこれから街を練り歩いてフィリピンの台風被害への義援金を集めてまわると言うのです。募金用のバケツを差し出して「あなたもドーネーションしてくれ」と言う彼らに、うちの従業員達は全員財布を取りにバタバタと走ります。やさしいんだから…ね。
 まぁ私服の彼らはインテリの集団みたいではありました。(でも何で赤いドレスなの?)と聞きたいところをグッと堪えてタンブン。人目を引く手段なら他にもあるでしょう。世の中には自分とは違う価値観で生きている人達がたくさんいる事をタイで学びました。特にアジア以外の人達は、私達アジア人にはよくわからない事にユーモアやジョークを見出している事があって、(何がおかしいの?)とか(なるほどねぇ…)なんてよく思うのです。(台風→募金→赤いドレス。この関係は?)この赤いドレス集団にしても、私やタイ人の従業員にはまったく理解不能。けれど、すんなりと現実を受け入れるタイ人達。楽しんでしまうのです。(このお金ホントにフィリピンに行くの?)なんてゲスの勘ぐりはしない。私はタイに長いこと住んでいて、時々思います。自分のすべてに対する許容範囲が少し広がったな。事を受け入れる間口がちょっと大きくなったな…と。昔は自分の理解を超える事には拒絶反応を起こしているところがあったのです。心が狭いというか…。とは言うものの、店の前にこの時期赤服集団とはいかにもあやしいです。お客様はひとりも来られませんでした…(だって怖いもの)。シーローに乗った人達はこちらを指差しながら「はやく行って!」と運転手さんに叫んでいました。もうこれって営業妨害じゃないの?と思いつつ、通常よりも早く閉店してしまう事になりました。店の前に座り込んでビールを飲んでいる彼らに(50人!)ささやかなうらみの眼差しを送りながら、それでもこんな事を楽しめるなんてちょっとだけ羨ましかったりする私でした。

(はっとり)

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