第 8 回

 従業員と色々な話をします。うちの子たちはみんな長いので、私のいいかげんなタイ語を理解してくれるから助かります。
そんな時、意見を言うのは圧倒的に女の子たちです。先日は私がこんな問いかけをしました。「道端に物乞いの人たちがいるでしょ、そんな時あなた達はどうする?」なぜ私がこんな事を聞いたかと言うと、あるマレーシア人の友人が言ったのです。「物乞いに金品をあげてはいけない。彼らは心が弱いから物乞いをしている。働ける体がありながら働こうとしない。その彼らに金品を与えるという事は、もっと弱い人間にしてしまうという事だ。自分の自己満足のために、彼らの意欲を奪う事になる。」なるほど…と思いました。

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これはイスラムの考え方なのだろうかと。そしてタイ人はどう考えるのか。ちょっと知りたくなってうちの子たちに聞いてみたのです。「かわいそうな時はあげる。」「赤ちゃんを抱いているとついあげてしまう。」「でもあれは自分の子供じゃないんだよ、レンタルだって!」「1日ですごい売り上げだけど、うしろにマフィアがついていて、みんな取り上げられちゃうんだよ。」「麻薬で縛られている人もいるんだって。」なるほど…。それぞれにうるさい位おしゃべりします。
 物乞いは、本来違法行為で警察の取り締まりの対象になったのだそうです。でもおまわりさんも優しくて見て見ぬふり。
1日が終るとトラックで物乞いの人たちを回収して周り、どこかへ帰って行く。そんな組織があるそうです。

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うちの子たちはそんな事を口々に言いながら、それでも「かわいそうな時にはあげる」ときっぱり。水のように高いところから低いところへ。持てる者から持たざる者へ。自然な流れ。タイの徹底した哲学をこんなところにも感じます。何かをもらっても決して無理なお返しはしない。時として日本人はタイ人の人たちに対して誤解することがあります。「お礼を言わない」「お返しがない」でもそれは違うような気がします。自分の出来ることをする。それが基本なのです。借金をしてでもお祝いを包む日本人とはかけ離れた思考です。たしかに結婚式が多い月は貧乏だったなぁ。人からしてもらった事は、次の機会に自分より困っている人にしてあげよう。そう思うのだそうです。自分より余裕があるからしてくれたのだから、その時その人に返すより、自分はもっと困っている人にしてあげればいい。そんな風に考えるのがタイ人だと私は怒られました。たしかにAさんからBさん、BさんからCさんと巡り巡って大きな輪になるかもしれない、タイ式の考え方も悪くないなと思うようになりました。日本にいたら知らなかった事、理解できなかった事、たくさんの事をここタイで学びました。日々の暮らしの中で、決して豊かとは言えないうちの子たちからも、私は教えられています。