優しい国、タイ

 今は中国に住んでいる古い友人が、家族を連れてタイに遊びに来ました。彼女には双子の息子さんがいて1人はアメリカの学校に通わせているのですが、もう1人は重度の脳性マヒを患っていて1人では生活できない状態です。でも世界を見せてあげたいと大人用のバギーに乗せて10年ぶりにお店に訪ねて来てくれました。いろいろと世間話をしている時に彼女からこんな話がありました。王宮からお寺巡りをしているときに一台のタクシーに乗った時のこと。そのタクシーは観光客を目当てにしていたようでメーターを使わずに交渉してきたそうです。暑いし子供が心配ということもあって運転手の言い値でタクシーに乗り込んだところ、タクシーの運転手が随分驚いたように子供を見つめたそうです。そして降りる時にお金を渡そうとしても運転手が受け取らないので、何故なのか尋ねると、子供を指して「いらない」と言ったとか。タンブンの精神ですね。「タイ人てやさしいのよ。」と私が言うと友人は「なるほどねぇ。」と…納得。中国というお国柄、色々と苦労がある様子。そして、そんな大変そうな国に住む友人に「お金持ちが勝つ」と言い切られてしまうと「私には住むのは無理だなぁ…」と、心の中でつぶやいてしまいました。
 そういえば、ある国での事。身障者の子供が路上で物乞いをしている場面に出合ったことがありました。その子は何か叫びながら強い目でまわりを睨んでいました、ちょっと怖いくらいに。何と言っているのかとまわりの人に聞いたところ、その子は「お前たちは五体満足じゃないか。自分はこんな体なんだから、少しくらい金をくれてもいいだろう!!」というようなことを叫んでいたそうです。あーあ、所変われば人の言い分もこんなに違うんだなぁ、と妙な納得をしたのを覚えています。タイは弱い立場の人達に優しい国です。幼い子供とか老人を大切にします。でも、それもこの頃危なくなってきているとタイ人の友人は嘆いています。昔程席を譲らなくなった。昔程タンブンに行かなくなった。どの国でも例外なく〝今の若者は…〟と言われ続けて歴史はここまできたのでしょうね。でもでも、本当にタイ人の優しさは無くさないでほしい。タイの国が持っている緩やかな時の流れを無くさないでほしい、と心から願っているハットリでありました。

h91

(はっとり)