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タイの警察官に訊いてみた

023

刺青、ピアスは不適格 初任給7800バーツ

 タイ全土のいたるところでお目にかかる警察官。体にぴったりフィットした制服を着こなし、特に交通警察官がブーツを履いて颯爽と歩く姿はタイ王国の威信のようなものを感じさせる。熱帯性気候の国なのだから、夏向きの開襟シャツのように通気性のよいデザインの制服を身に着ければ涼しく動きやすいのでは、とも思うのだが、日本の警察官とダンディさを競った場合、明らかにタイ警察が勝っているのは万人が認めるところだろう。しかし、悪いウワサ話や流言が持ち上がる事も多く、例えば、歓楽街等で違法な営業を行う店から多額のミカジメ料を徴収するとか、小遣い稼ぎ目的の取り締まりとか、毎月「2」のついた日にはバーで無料接待を受けているといった話がタイ庶民が集まる酒の席で冗談半分に盛り上がったりする。
 タイ国で警察官が国民に及ぼす畏怖度は、一部の共産国を除いた諸外国の中では恐らくトップクラスではないだろうか。欧米では警官侮辱罪は重い罪であるが、それに類した立法が必要ないほど、警察官に従順する姿勢がタイ国民に徹底している。昨年末のカウントダウンで、タイ人若者同士による集団乱闘が発生した時も、警察官の無言の威嚇発砲で瞬時に静まった。また、街角で喧嘩が起こっても、駆けつけた警察官の雷鳴のような怒号一発で簡単に収まってしまう場面を何度か目撃している。
 そんな格好よくて権威があるタイの警察官の素顔に接するべく、交番のひとつに飛び込んでみた。
 この交番は、かつて『スクムビット・ソイ0(ゼロ)』として怪しげな安酒場が並ぶ猥雑な場所であったが、撤去され手つかずとなった土地に建てられた。以前はプルンチット交番とナナ交番を掛け持ちで警官が詰めていたが、風俗街のナナで外国人がらみのトラブルや事件が頻繁に起こり、専任が必要となっため、双方の交番をサポートする目的で設けられたらしい。当時、ソイ3~4を中心とするソイ・ゼロからソイ15の地域では、バービアやゲストハウスでの麻薬所持、窃盗やケンカは日常であり、取り締まりの強化で現在は少なくなったが、ドミノ賭博も多くあった。シンガポール人の泥棒、麻薬を売っていたアラブ人が多数逮捕され、ゴーゴー・バーで写真を隠し撮りしていた日本人が意識不明の暴行を受けた事もある。薬を飲まされてソイ2の路上に全裸で放置されていた日本人男性が保護された事件もあって、物騒な界隈だった。周囲に睨みを効かすかのようなガラス張りのこの交番の広さは畳4帖ほどで、執務机をぐるりと取り囲んだ格好でコンクリート製のベンチがあつらえており、余分な調度は一切無い。机に置かれた無線機からはひっきりなしに渋滞の状況や犯罪発生の情報と経過が報告されており、その生々しさに気後れしながらも取材を申し込む。いきなり侵入してきた外国人に「何事か」と一瞬、緊張が走ったが、こちらの意図を察し応対してくれたのは、キティポッド巡査。今年38才、勤続年数17年のベテランの域に入った警官で、愛想良く質問に答えてくれた。かつて「激戦区」だったこの地域は治安対策が強化され、以前のようには事件が多発していない。キティポッド巡査の腰には、日本の陸上自衛隊や米軍で制式採用されている自動拳銃、コルト・ガバメント45口径が誇らしげにホルスターに収まっている。タイの警察から支給される拳銃は旧式で品質が悪く、暴発や不発の可能性があって危険なので、警察官としての職業に就くと同時に拳銃を自費で購入する。ところが大卒者の初任給は7800バーツ。職務手当が毎月3千バーツ(勤続年数によって異なる)支給されても、デパートの女子店員とほとんど変わらぬ月収である。毎年4月と10月の昇給を何年も重ねてきたキティポッド巡査ですら、現在の月収は22,200バーツである。屋台で待つ順番のトラブルで発砲事件が起こるほど銃が蔓延するタイの国では、犯罪の鎮圧力として装備の質が問われる。警察官が銃を購入する際に人気があるのが「キンバー・プロ45」で、これは6万バーツ。1ランク下げて「CZ」は5万バーツ。タイ警察官の到達点ともいえる「コルト45」にいたっては9万バーツで、新人警察官には高嶺の花である。従って、1万バーツ以下で入手できるトカレフや怪しげな中国製の模造品でとりあえず恰好をつけるわけである。
 携帯用無線機も8千バーツ前後のものを自分で購入する。サングラスは本当はレイバンを欲しいが、高価なのでMBKで300バーツのコピー品を買い求める。
 キティポッド巡査に更に質問してみた。
Q…管轄内ではどんな犯罪が多いのですか?
A…窃盗、スリ、ケンカ、交通違反が日常にあります
Q…外国人を逮捕した事はありますか?
A…タイ人の運転マナーに怒って暴力行為に及んだ欧米人、無免許運転のインド人など色々あります。
Q…鎮静化しているように見えますが、麻薬犯罪はまだまだ多いのでは?
A…手の内を明かすことになるから詳しくは答えられないが、私たちも麻薬の撲滅には全力で取り組んでいます。どんな些細な事でもいいので情報を寄せて欲しい。
 麻薬対策を質問した時の巡査の目は、「柔和で愛想の良い町のおまわりさん」のものではなく、タイ国が抱えている重大な問題、その危機感を伝える厳しいものに変わっていた。踏み込んだ質問はやめて、タイの警察官として採用される簡単な基準をたずねてみると、身長160㎝以上(女性警察官は150㎝以上)、胸囲77㎝以上で、これ以下だと失格になる。さらに、刺青・ピアスは問題外で失格。近視の者や水泳ができない者もダメ、腕立て伏せを1分間に25回以上可能かどうか、といった細かな条件が付く。刺青に関しては、日本の場合は反社会性が高く一般市民には受け入れられないものだが、タイでは宗教上の理由もあってか市民権を得ており、歌手や俳優でも刺青を施し何ら抵抗なくテレビや映画に出演しているが、警察官の場合は不可となってしまう。もし幼少の時に両親が魔除けにと、親ごころで刺青された子供が成長して正義感に燃え、警察官を志そうとしても道を閉ざされてしまうのだろうか。
 タイでは警察官養成のための設備がまだ十分ではなく、すべてが資金不足のなかで行われる。しかし、警察官になりたい若者たちは暗いうちから起きて鍛錬に励んでいる。そして養成学校を卒業し、世に出る彼らが直面するのは警察官としての名誉の前に、いかにして生活を営むかという現実である。わずかな給料は生活費で消耗され、時には郷里に帰ることもできない。タイ王国を背負って立とうとした使命感が揺らいでくる。退職してバイタクに仕事変えする者もいる。
 タイ警察官の制服は微妙に色が違うことがある。「洗濯を重ねるうちに色落ちしてきてススケた色になるんです、新しい制服はなかなか買えないし…。」彼らが直面している現実を改めて突きつけられたような気がした。