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瀬戸正夫の激写人生・裏話

077

闇の中から飛んできた銃弾 お化けより人間のほうが怖い

 タイ国在住の日本人の中でも最長老であり、恐らく知らぬ者はいないだろう『瀬戸正夫』。傘寿を経た83歳ながら、フリーの現役カメラマンであり、1年間に約3万枚の写真を撮影し続けている。朝日新聞アジア総局顧問としても、積年の経験と独自の審美眼により、虚構を持たない報道に評価の高い稀代のジャーナリストでもある。
 瀬戸さんは過去に一度死んでいる。「生死をさまよう体験」ではなく、本当に落命した。盤谷日本尋常小学校に通う11歳の或る日、チフス予防注射の副作用が原因となり、病院で一時息をひきとった。ところが気がつくと、目の前が異様に白く明るい。顔に手をやると、白い布が被せられていた。死んだ人の顔の上に乗せる『打ち覆い』である。払いのけると、瀬戸少年の臨終にあたって恩師や友人たちが悲しみの涙にくれているところだった。この時からある特殊な能力が身についた。危険回避能力や生来の予知感がより高まり、身体も俄然と強くなっていったのである。
 例えば、どこでみた景色か解らないのだが、多数の人々が水に溺れて助けを求めている鮮明な夢を見た。その3日後に旅客機が海に落ちたというニュースを見て、夢の中で見た光景と同じことを知る。 またある朝、枕元に知人が立っているのをはっきりと感じた。瀬戸さんは、ある確信を持つ。はたして次の日、その知人が死亡したニュースが入って来たのだった。 日本や海外の見たことのない景色や行ったことのない場所が夢に出てくるが、後にその場所には必ず関わりを持つ事になるのが当たり前となった。
 そんな中、重大事が起こった。1971年4月、タイ南部・スラタニでの出来事である。バンコクを発つ際に嫌な予感がよぎり、「この出先で僕は大怪我をするか、死ぬかも知れない」と呟いていた。そして行程の終り頃、サムイ島からの帰路にスラタニのホテルへ宿泊した。夕食の後、5名ほどの同行者と近くの小高い山を腹ごなしに散策していると木立の間を何かがシュルシュルと風を切って飛んでくる音が聞こえた。危険を察知して伏せようとしたが、僅かに遅く、銃弾が瀬戸さんの右眼窩に命中した。病院に搬送したが命を取りとめたものの、右目は失明した。音に気付かずじっとしていたら脳を貫いて即死だった。誰がどんな動機で銃撃したのか瀬戸さん自身にも全く思い当たる処がない。しかし、何という強運。この件の他にも、地雷原を歩き回って無事であったり、ゲリラに草叢から機銃掃射されても事なきを得たり、タイのクーデターで戦車と歩兵隊に乱射されても助かったりと、死地の数々を逃れてきている。
 単なる強運ではなく、瀬戸さんには『何か』が憑いているとしか思えない。本人はケロッとしているが、その頃同居していたタイ人男性が「昨夜、瀬戸さんが壁の中から現れて窓から浮いて出て行きました。瀬戸さんはピー(お化け)です。僕は怖くて堪らないから出て行きます」という事があった。タイ人にしてみれば「ピー」かもしれないが、きっと瀬戸さんの「守護霊」なのではないか。その強い霊力で多くの危険から守っていてくれるから今まで病気に罹ったことも無い。瀬戸さん自身が「人間のほうがよほど怖いです」とオカルト話を一笑に伏すが、世の中には不思議なことはいくらでもあるのだ。
 瀬戸さんにお会いする度に感じるのは、自分自身に降りかかった災厄をも笑い飛ばす寛容性である。楽天的というわけではない。一度死んだ人間ゆえに持てる、人生への達観と云うべきだろうか。一般の人が抱える煩悩の炎が全く見えないのである。釈迦の入滅(寂滅)とはこういう境地なのだろう。
 以前から気になっていた疑問『なぜ、常に黒一色の服装なのだろうか』には「伏せても汚れが目立たないから」、続けて『昔から変わらないヘアスタイルの理由は?』には、「ああ、面倒くさくてね」。瀬戸さんらしい、シンプルにして明快な答えに納得した。

(写成麗)