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タイの大学「卒業式の厳しい掟」

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王室から賜る卒業証書 サイフに痛い収支決算

 日本の3月は卒業式のシーズン。『仰げば尊し』は今も私たちの胸にしっかりと刻まれています。タイ国でも小中高校の卒業式は3月ですが、大学は1月から4月までが主な卒業シーズンで、中には9月や12月に卒業式が行われる大学もあります。つまり、タイの大学は1年中が卒業シーズン。なぜこんなに長い期間なのでしょうか。その理由は、タイでは国王の親族や王室の関係者から卒業証書を一人一人に手渡す習慣があり、スケジュールの関係で大学ごとに卒業式の日程が大きく異なるからです。タイでも進学率が高くなり、若者の10%以上が大学で学ぶそうですが、最高学府の卒業者として王室関係者から直接、手渡しで卒業証書を授与されるのはとても名誉なことなのです。
 卒業式の当日は大学周辺に花束やぬいぐるみ等を売る業者も押し寄せて大変にぎやかになります。卒業生にとっても一生一度の大イベントとなりますが、卒業式にあたっての厳しい決まりがあるのは、意外と知られていません。その厳しい決まりとは何でしょうか。
タイの大学・卒業式のオキテ
■下着、制服、卒業マント以外は身に付けてはならない。紙幣は、マントの裾に入れて良い。
■女子学生の場合、髪の分け目に頭皮が見えるヘアスタイルは不可。おばさんヘアで。
■髪やクツ、その他の全てに飾りがあってはならない。
■爪は先端の白い部分が見えない切り方をしておく。※王族の方の手を傷つけないため。
■硬貨や時計、ネックレスなどの金属類は着用を禁止。携帯電話の所持もだめ。(アパートの鍵も持ってはならないので一人で住んでいる学生は鍵を預ける誰かと同行する事になる)
■メンソールの鼻薬(ヤードム)は絶対にダメ!
■事前に化粧をしても良いが、式典中の化粧直しはダメ。(この為、汗で顔がマダラになっている女子学生が多数)
■カトゥーイ(おかま)は男子学生として扱う。髪は切り、茶髪は黒く染めてくること。口紅不可。違反者は卒業取り消し。
以上、各大学によって多少のバラツキはあるものの、こういった決まりが基本となっているようです。
卒業式にかかる費用ですが、女子学生の場合は結構な出費になります。まず、朝の5時から美容師を家に呼んで、念入りヘアセットが400B、更に念入りメイクで400B。卒業式で着用するマントは襟の色が学部によって違いますが(赤=政治学、青=経営学、白=法学)、レンタルで2000Bほど。ハイソ向きのシルク製マントは4000B。大学指定の黒靴は市場で買って199B。普段は素足なので履いたことがないストッキングは、コンビニで安物を買って35B。おなじみの白ブラウスに黒のスカートを卒業式だから新調して400B。髪や服が乱れないために学校までタクシーで100B。ここまでの合計が3500Bほど。これに追い打ちをかけるのが、家族・親戚・友人の招待費用。田舎から半日がかりで10人も来られたら交通費だけでも8000Bの負担になります。さらに、避けて通れないのが卒業記念パーティーで、軽く6000Bは飛んでいきます。出費は後日も続き、正規の卒業写真代2000Bと、家族や友人と撮りまくった写真をプリントして配れば700B。ここで支出額の総計はなんと、2万B以上!「オォーイ!」と嘆く。ところが、天の恵みか、気のきいた親戚からお祝いで2000Bほど包んでくれたりするので、収入が約5000Bとなります。式典に臨む礼節を最も重んじ、「個人は集団を構成する一部である」という厳格さから社会性を学びとる。この規律性こそ、今の日本の若者に最も必要ではないかと思います。 (由旬)

(由旬)