Vol,15

 連れ合いが頼みもしないのにスマホを買ってきてくれました。最近流行だし、とても便利なので使ってみれば?ということらしいです。そこで昭和生まれの私がひがな一日『全部入り』のスマートフォンとにらめっこして、ほぼ判った後のある種の全能感。というよりむしろ、子供の玩具のようにあまりにも全てがチマチマしていて安っぽい。こんなものに夢中になって駅のホームから転落したり、階段を転げ落ちたり、通路で通せんぼして他人に迷惑をかける姿のバカっぽさばかりが脳裏に浮かんで、自分の人間としてのスケールまで一回り小さくなったような気分になりました。ファイルを共有したり、自分の居場所や目的地がすぐに解ったり、検索がその場でできて便利だという向きもありますが、誰かと情報を共有したいほど寂しくはないし、居場所や目的地なんて最初から把握しているべきだし、何でもかんでも検索しなければ解らないなんて、これまで学校へ行かせてくれた自分の両親に申し訳が立たないし。とにかく、通話単機能の携帯電話で十分。スマホなどと中途半端なものは私には不要だという結論に達したのでした。
 スマホと決別する前に、いわゆる電子書籍というものでしょうか、夏目漱石の有名な小説の英語版「I am a cat」があって、嫌な予感がしつつ、同じくスマホの翻訳サイトで訳させてみましたら、「私は猫です」と出ました。そんな題名の漱石作品はありません。『吾輩は猫である』という堂々とした存在感を放つ作品ならあります。スマホなんてやはりその程度のものです。