Vol,2

 海へ行った。波打ち際で石を拾った。私が生まれるよりもずっと昔に生まれたこの石は何度も転がり、洗われて丸く小さくなって漂い、波打ち際に落ちていた。それを拾って海に投げてみたら白いしぶきと共に波間に消えて行った。小石は誰にも知られる事の無い深い海の底へ沈んで行く。たまたま遊んでいた海の小さな生き物たちを驚かせて着底した小石は、明るい陽が差す事の無い暗い海の底のその場所でこれから永い時を過ごすのだ。もし、この小石に意思があるとすれば、運命を突然変えてしまった気まぐれな私の行動を恨むのだろうか? 日常のふとした些細な行いが自分の知らない所で大きな 「異変」をもたらす事があるのかもしれないと私は後で思った。