Vol,26

 お金持ちの中華系タイ人の家庭にお呼ばれしました。夕食の時間になって、庭に設えた食卓には、タイ料理、中華、和食、イタリアンなどなど贅沢な料理がいっぱい並べられました。ひとしきり美味しいひと時を過ごし、テーブルにはまだ食べきれなかった料理がずいぶんと残っていましたが、メイドさんがポリバケツに放り込んで、あっと言う間に片づけてしまいました。「ああ、なんて勿体ない」日本人ならではの正直な思いでしょう。
 ネット上からでも気軽に野菜やお肉などの生鮮食品を購入することができる現代において、どれ位の量の食料がムダに廃棄され環境に影響を与えているかといえば、世界中で生産された食料の約3分の1が毎年ゴミとして捨てられており、1年間の食料廃棄による二酸化炭素排出量は33億トンにも上がり、温室効果ガスの大きな要因となっているそうです。食料が生産されてから、どの段階で食料廃棄が生じるのかといえば、食材が収穫されて加工された後、食品となって店に並べられたり飲食店でストックされたものの、売れずに賞味期限が過ぎた場合や、消費者の手に渡ってからの段階で頻繁に食料廃棄が発生していることが分かっています。
 中国では、料理を全部平らげてしまうのは礼儀を失したり卑しいという感覚があります。タイでも食べきれないほど注文しておいて、半分以上を残して店を後にする光景を見かけます。 日本では「米」という字は、農家が八十八回の手間をかけて作ることに由来すると云われます。子供の時から「ご飯は一粒残さず食べなければ、お百姓さんに申し訳ない」と言われて育った方も多いでしょう。飽食の現代に生まれた私たち。美徳とは何なのか、炊いたご飯の一粒をよ~く見てみませんか。