Vol,48-(No.96)

 今年もあと僅かとなった。毎年この時節になると『今年の10大ニュース』を各メディアが報じる。そこで決まって思い出してしまうのが、私が以前に関わった事がある、某日本語情報紙(廃刊)の『今年のタイ10大ニュース』である。毎月半ばの発行だったので、12月中旬の印刷に合わせて月始め頃に編集を済ませた。ところが年末に重大事件が起きた。2004年12月26日のスマトラ巨大地震である。タイ国領内でも前代未聞の甚大な被害を被った。明らかに10大ニュースの第1番であり、それを逃した記事は陳腐に過ぎず、笑い物となった。一年は12ヶ月ある。歳末を過ぎるまでは何があるか分からないので、迂闊に『今年の重大ニュース』をやるものではない、という教訓を得たのだった。 昨年、奇しくも12月26日に安部総理の靖国参拝があった。日本の各メディアは「なぜこの時期に?」「中韓を刺激するではないか!」と叫び批判した。この時、断交も厭わず韓国に突き付けた『NO』が現在の対韓姿勢に大きく布石となっていたのを今、ようやくメディアは知る。本紙では1月15日発行のトップ面で「裏から読む安倍総理の靖国参拝」として特集を組み、新聞にも書かれていなかった真相を報じた。
 紙媒体には「印刷」というプロセスが不可避なので、速報に関してはどうしてもネットに遅れを取る。しかし、次々と更新されるネット情報は概ね手元に残らない。忘れ去られるのも早いので、多少の痛恨の極みも風化していく。ところが紙媒体ではそうはいかない。物理的である故に風上に立つ。世代を越えて老若男女に知らしめる事が可能であると共に大きな責務を背負う。責務に背いた朝日新聞こそ、その例である。 「朝日の特集はやらないんですか?」という多くの声が届いている。タイの日本語メディアでそれを書けるのは本紙だけだと。嬉しい限りである。実は今号で3ページの特集を組む予定だった。しかし延期を余儀なくされ、記事を差し替えた。軽率は迂闊に通じる。「2014年の重大ニュース」は未だ終わっていないからである。