会社設立はその後の労働許可証の取得や就労ビザの問題に関わってきますので、トラブルの発生しないようにすることが必要となります。
また、タイ王国省庁の事情により、ルールの変更が頻繁に行われています。このページに記載されている内容についてはあくまでも目安としてご利用ください。
最新情報や不明な点などにつきましてはお問い合わせください。
タイでの会社設立に関わる制度や注意点を簡単にご説明しております。会社設立を行う上で必要とされる各種手続きや関わりのある法律、税制のご説明から、タイで会社設立を行うメリット・デメリットなど。
タイでは日本と同じようにいくつかの会社形態があり、主に下記の4つになります。
1,個人事業
2,有限会社
3,株式会社
a,合弁会社
b,日本独資 (商務省外国人事業局による許可)
c,日本独資 (BOI奨励取得)
d,日本独資 (製造業)
4,駐在員事務所
5,支社
6,地域統括事務所
タイでは日本人名義で個人事業は認められないため、信頼できるタイ人の友人や、タイ人配偶者名義となります。
日本人従業員の所属が認められないだけでなく、出資した事業や資産の所有権も法的には名義を使っているタイ人のものとなるので、たとえ強固な信頼関係があったとしても大きな出資の場合はお勧めできません。
また年間200万バーツ以上の利益をあげた場合には税制上株式会社のほうが個人事業より有利になります。
株式会社より設立の手続きが簡素であり、3名の発起人・株主で設立できるというメリットはありますが、株式会社にくらべて責任の多い有限会社の株主になってくれるタイ人を見つけるのが困難なため、有限会社形式の日系企業はごくわずかです。
また2008年7月1日より株式会社設立の発起人が7名から3名に緩和されたためさらに有限会社設立のメリットは無くなりつつあります。
日本人が作る会社として有限会社を選択するメリットは無いかと思います。
3名の発起人 (2008年7月より7名から3名に緩和) が出資することによって設立できる法人。日本人がタイで投資を行う場合はほとんどの場合、この株式会社という形態で法人設立します。
株式会社といっても株券を発行する必要も無く、実際に設立株主総会を開く必要(ただし議事録は作成)も無いので、申請に必要事項を記載し、弁護士が署名の証明を行えば設立手続きが完了します。
タイではサービス業および販売業の会社設立には外国資本規正法により49%までしか外国資本の出資が認められていません。すなわちタイ人の出資が51%必要です。
製造業やBOI(Board of Investment:タイ投資委員会)により認可を受けた場合や商務局からの許可を受ければ外資100%による会社設立が可能です。
また外国資本の割合により以下の形態に分けられます。
会社分類 | 外資比率 | 外国人の代表就任 |
---|---|---|
外資系企業 | 40%以上 | 単独で可能 |
タイ企業 | 40%未満 | タイ人代表者と連名でのみ可能 |
タイで設立登記されている日系企業は4000社以上あるのですが、このうち3000社程度がタイ51%、日本49%の合弁会社であると言われています。
タイ人が51%を所有するということは日本人の感覚としてはタイ人に「会社を乗っ取られる」とか「タイ人の影響力を受ける」と感じるかもしれませんが、タイ人株主の影響力を排除するための工夫も確立されているので詳しい詳細については個別にご相談ください。
タイには外国人事業法という法律があるため、外国人100%の会社には出来る業務に制限があります。
BOIや商務局の許可を得た独資企業であれば認められた事業のみ行えるだけであり、新たなビジネスチャンスにめぐり合っても柔軟な対応は不可能です。したがって日タイ合弁会社は柔軟さにおいては他の法人形態にくらべてはるかに有利です。
タイの商務省外国人事業局では個別の事業内容を審査して問題なければ日本独資での申請された事業を認める「外国人事業許可証」を発行しています。
1つの事業につき最低300万バーツの資本金(海外からの送金証明を1年以内に提出)する必要があります。
外国人事業局では書類審査、面接調査、外国人事業委員会での審査の3つの段階をへて審査するため4~6ヶ月の期間を必要とします。
外国人事業許可と同じくタイの投資案件を審査してタイに有益な投資に対して様々なメリットを提供してもらえる「タイ投資奨励委員会:BOI」による許可を得て日本独資の企業を設立する方法です。
詳しくはこちらをご参照ください
製造業は元々外国人事業法により規制されない業種なので日本資本100%で事業を行えます。ただし日本でいう「製造業」とは製造業の前提が違うので注意が必要なのと、製造販売以外の事業は全く行うことが出来ません。
タイでは製造業に分類されないもの
・生産受託業務 (OEM生産)
・受注生産業務 (1点物の機械製造など)
※工場の体裁をしていれば製造業というわけではありません。
海外の法人の出先機関として本社との業務連絡などが目的で商品の発掘、商品検査、品質管理、代理店への助言やサービス、新製品の情報提供、本社に対してレポート作成などの限定された業務のみ可能です。
駐在員事務所の設立に関しては 現地法人に比べて開設に費用・期間がかかるわりに、権限・行動制限が多く、駐在員事務所の新規開設は少なくなっています。
設立に関しては十分ご理解した上での選択をお勧めいたします。
1.本社あるいは同グループの会社に対してタイ国内での物品・サービスの購入先の手配
2.本社あるいは同グループの会社に対してタイ国内で購入した製品の数量・品質の点検
3.タイ国内の顧客に対して本社あるいは同グループの会社の製品に関するアドバイス
4.タイ国内の顧客に対して本社あるいは同グループの会社の製品の広報活動
5.本社あるいは同グループの会社に対してタイ国内の事業動向の報告
海外に登記された法人を証明する必要があるので以下の手順で宣誓供述や認証取得および商務局での審査・面接を経るので期間や手間がかかります。(120日程度)
英文宣誓供述書などを作成・会社登記簿英訳→公証役場もしくは裁判所にて宣誓供述および認証取得→タイ語に翻訳→申請→担当官との面接(代理人による)→申請受理→審査→許可
100%外国人名義で申請でき、タイ人の名義は不要で外国人の労働許可証・就労ビザの取得ができるが領収書発行などの商行為が出来ません。
日本などタイ国外に登記された法人の支社として本社と同じ業務または商務局にて認可を受けた業務のみ行うことができます。
外国資本100%で設立できる代わりに、登記の際に認可された事業しかすることができません。
タイ国内および海外との商取引が可能ですが、1事業あたり年間300万バーツ以上の経費を使うことが条件とされています。
労働許可証の取得には外国人1名につき300万バーツ海外からの送金証明が必要です。
手続きは駐在員事務所とほぼ同じく以下の手順で行い、所要日数は180日程度です。
英文宣誓供述書などを作成・会社登記簿英訳→公証役場もしくは裁判所にて宣誓供述および認証取得→タイ語に翻訳→申請→担当官との面接(代理人による)→申請受理→審査→許可
タイにアジアのハブとしての拠点を誘致し、外国からの投資を促進するために新しく設けられた法人形態で外資100%での法人設立、法人所得税を10%に設定したのが最大の特色。関連会社からの収入によって成り立つ法人です。この法人は自体はアジア地区を管理・サポートする日本人やタイ人の活動拠点としての機能しかありません。
タイの法律に基づきタイ国内に設立される会社。
資本金は1,000万バーツ、株主は特に問わない。
タイ国以外に3ヶ国以内の支店、系列会社を持つこと。
系列会社への支援サービス事業
1.経営一般
2.資材及び部品の調達
3.商品開発
4.技術支援
5.マーケティング及び販売の振興
6.地域の人材教育と育成
7.金融関係のコンサルタント
8.投資の研究と分析
9.資産運用
子会社、支店、親会社、出資会社のみ
会社形態 | 株式会社 | BOI認可 | 駐在員事務所 | 支社 |
---|---|---|---|---|
発起人 | 3名(タイ人1名) | 同左 | 代表者のみ | 代表者のみ |
外資割合 | 100%可能ただしサービス業などの外資規制業種は49%まで | 100% | 100% | 100% |
外国人の代表 | 可能 | 可能 | 可能 | 可能 |
商行為 | 可能 | 可能 | 不可 | 可能 |
資本金(出資額) | 15万バーツ以上 | 300万バーツ以上 | なし | 300万バーツ以上 |
設立期間 | 30日 | 200日程度 | 180日程度 | 200日程度 |
役所申請料 | 6000B/資本金100万当たり | 6000B/資本金100万当たり | 本社資本金の0.5% | 本社資本金の0.5% |
その他 | タイ人との合弁の場合は事業内容に制限なし | 事業内容はあらかじめ許可を受けた事業のみ可能 | タイで収入を得ることは不可(日本からの経費送金のみで運営) | 事業内容はあらかじめ許可を受けた事業のみ可能 |
タイの外国資本規正法で外国人の出資制限の問題だけで法人形態を選択するのではなく通常の現地法人でもタイ人の影響力が全く無い経営も可能ですので、正しくご理解いただいた上での選択をお勧めします。外資100%の会社設立の場合は、製造業又はあらかじめ許可された事業以外は認められません。複数の事業を自由に行うことの制限。
1,代表予定者のパスポートの写真ページとタイ最終入国スタンプページのコピー7部
2,各発起人のパスポート写真ページのコピーまたはIDカードのコピー 各1部
3,会社所在地の住所、物件オーナーの連絡先
a,物件の決まっていない方は弊社事務所の名義貸しサービスあり
b,会社設立完了までの1ヶ月間の場合
c,税務登記も弊社の事務所で行い、その後移転する場合(1ヶ月以上)
4,会社名の案(3つ以上)
5,日本の法人が20%以上の株主になる場合は日本の法人の会社事項全部証明書謄本
6,登記場所の地図および物件の写真
外国人の労働許可を申請するには1人当たり資本金が最低200万バーツ必要です。またタイの入国管理局では就労ビザ(Bビザ)延長の際に提出する年度会計報告の中で会社資産額が100万バーツ以上である必要があります。
資本金設定額 = 必要日本人数 × 200万バーツ もしくは
資本金設定額 = 初期投資金額 + 運転資金額 + 100万バーツ
会社設立時の資本金証明
タイの法律では会社設立申請時に資本金額の25%の出資を持って設立可能ですが、労働許可証を申請できるのは資本金額100%の出資が必要です。
ただタイでは会社設立の申請には外国人出資分の出資証明が不要なので、実際に証明する必要があるのはタイ人出資額のみです。
タイの場合はお金があることを確認するのではなく、お金の出所を確認されるので、タイ人名義の口座の中にお金があることが必要です。
※外国人出資が39%以下の会社設立には資本金証明は一切不要です。
資本金200万バーツの会社を設立し、尚且つ日本人が単独で代表権を所有するために日本人49%(出資者3名)、タイ人51%(出資者4名)の出資形態の会社を設立する場合は以下のとおりになります。
証明必要額 = 200万バーツ × 51%(タイ人出資分)= 102万バーツ
番号 | 出資者 | 出資割合 | 証明額 |
---|---|---|---|
1 | 日本人 | 40% | 不要 |
2 | 日本人 | 39% | 不要 |
3 | タイ人 | 51% | 102万バーツ※出資者名義の口座 |
– | 27名 | 100% | 102万バーツ |
※2008年7月より最低3名の株主により設立可能となっています。
以下の書類を会社設立申請時に提出します。
●銀行の預金通帳の最初のページおよび最新のページのコピーに口座名義人本人のサインをしたもの※口座内の金額は会社設立申請の第1回目(発起人登記)以降の日付であること
●代表予定者と出資者による出資契約書
資本金が500万バーツ以下の会社には中小企業優遇税制の対象となり利益額によって減税の対象になります。(資本金500万バーツを含みます)
●法人税の税率
利益額 | 資本金500万B未満の会社 | 資本金500万B以上の会社 |
---|---|---|
15万バーツ以下 | 非課税 | 30% |
150,001~100万バーツ | 15% | 30% |
1,000,001~300万バーツ | 25% | 30% |
300万バーツ超 | 30% | 30% |
●法人税額の計算例
資本金200万バーツの会社が今年400万バーツの利益をあげた場合
利益400万バーツのうち
15万バーツまで 対象金額 150,000B × 0% = 0
100万バーツまで 対象金額 850,000B × 15% = 127,500B
300万バーツまで 対象金額 2,00,000B × 25% = 500,000B
300万バーツ超 対象金額 1,000,000B × 30% = 300,000B
納税金額 927,500B
●法人税の税率(2012年1月1日以降開始の会計期間)
中小企業=期末の払込資本が500万バーツ以下で、かつ売上高3,000万バーツ以下の会社
利益額(バーツ) | 中小企業 | 大企業 |
---|---|---|
150,000まで | 非課税 | 23%(20%) |
150,001~1,000,000 | 15% | 23%(20%) |
1,000,001~(2013年1月1日以降) | 23%(20%) | 23%(20% |
1999年に改正されたタイの安全・文化保護、国内の産業保護の観点から外国人の投資による事業を規制する法律である外国人事業法によっての規制です。
規制されている事業は以下の3種類に分けられています。
第一種 外国人の参入絶対禁止
第二種 商務大臣の許可が必要
第三種 BOI(タイ投資委員会)の許可が必要
外国人事業法で規制されている「外国人」とは外国資本の合計が50%以上の企業を指し、タイ51%、日本49%の企業の場合は規制対象外になります。
外国人事業法の規制業種
●第一種 外国人が営むことができない業種
新聞・ラジオ・テレビ放送事業
稲作・畑作・園芸
家畜飼育
営林および自然林の木材加工
タイ国の領海および経済水域での漁業
薬草の加工
タイ古美術・歴史的価値のある品の販売・競売
仏像および鉢の製造
土地の売買
●第二種 国家安全・文化・環境に影響を与える事業で参入には商務大臣の許可が必要
武器・兵器・火薬・爆発物・軍需品の製造販売および保守
タイの美術品・芸術工芸品の取引
タイシルクの製造
タイ楽器・陶芸品・土器の製造
金・銀・黒金・青銅・漆加工品の製造
砂糖きびからの精糖
岩塩採掘・製塩
発破・砕石を含む採鉱
家具・什器の木工
●第三種 外国企業との競争力が未成熟な業種で参入にはBOIの許可が必要
精米・製粉
漁業・林業
合板・ベニア板・樹脂合板の製造
石灰製造
会計・法務サービス
建築設計サービス
エンジニアリング
資本金5億バーツ以下の建設業
証券・金融・農作物の先物取引仲介
資本金1億バーツ以下の輸入販売・仲介業
競売業
農作物の国内取引業
資本金1億バーツ以下もしくは店舗あたりの資本金が2000万バーツ未満の小売業
資本金1億バーツ以下の卸売業
広告サービス業
ホテル事業
観光事業
食料または飲料の販売
植物の栽培・育成
サービス業
外国人事業法で規制されていない業種(製造業)については外国資本100%にての会社設立が可能です。
しかし一般消費者への販売や顧客へのアフターサービスについてはサービス業に該当するので注意が必要です。
日本人の感覚では株式の過半数を占められた場合、会社を乗っ取られるもしくは経営に口出しされるなどの心配があるように思えますが、タイの商法では単なる株主には利益配当を得る権利はあっても会社の経営や資産に対して影響力は全くありません。
日本人が単独で代表になれば、解任・追加などは代表本人以外は出来ないので会社を乗っ取られる心配はありません。
株主が権利を主張できる唯一の場が株主総会で、その議決により代表者の変更が可能ですが、会社設立時点で、株主総会の成立のための参加株主の総株数を全株の52%に設定してしまえば、タイ人出資者のみで株主総会の開催が不可能になり、完全にタイ人出資者の権利を封じることが可能です。
外国資本額が40%以上の会社は外資企業とされ、外国人が単独で代表になれます。しかし会社登記申請の際はタイ人の出資が実際にあるかどうか厳しくチェックされるのでタイ人出資者の出資分以上のお金が本人の口座にある証明の提出と代表者の出資金受領書の提出が義務付けられています。
外国資本額が40%未満の会社はタイ企業とされ、タイ人のみもしくはタイ人と外国人の連名
※での代表しか認められていませんが、出資の裏づけを証明する必要はありません。
※連名での代表とは二人のサインが揃ってはじめて効力が発生する代表権のこと
会社形態 | 外国人出資割合 | 代表者 | 出資証明の提出義務 | 資本金制限 |
---|---|---|---|---|
外資企業 | 40%以上 | 外国人単独 | タイ人出資分のみ | なし※ |
タイ企業 | 40%未満 | タイ人単独もしくは外国人との連名 | 不要 | なし |
※資本金の規制は無いが外国人代表が労働許可証を取得する場合は資本金200万バーツ
株主には会社の経営や資産に対して一切の権限はありませんが、商務局様式の株式譲渡委任状にサインをもらっておくことで株主の権利を主張出来ないようにします。
●株式譲渡書解説
私は…..さんに…..株を1株あたり…..バーツで譲渡します。といった内容で空欄には一切記載しないで、署名欄の一番上にサインをもらえば株式譲渡の白紙委任状となります。
実際に1株1000バーツの株1000株すなわち100万バーツの出資分の名義人であってもあとで1株当たり1バーツと記入すれば1000バーツを渡すだけで譲渡が成立します。
タイの商法では代表取締役の権限が限りなく強いので、日本人が代表になってしまえばタイ人株主の影響を受けずに会社を運営できます。しかし逆を言えばタイ人が代表の場合はタイ人代表者に対して出資者の日本人は合法的には一切影響力を行使できないので注意すべきです。
日本人とタイ人がそれぞれ代表権(サイン権)をもった場合、力関係は同じですが争った場合は所有株式数の多いほうが有利になるので代表権を与えるタイ人の持ち株数を少なめに設定することをお勧めします。
タイ政府は海外からタイ国内への投資振興のために投資に対する優遇措置を与える権限を持った機関BOI(Board of Investment:タイ国投資委員会)を1954年に設立し産業奨励の活動を行っています。
与えられる優遇措置として「税制上の特典」「事業用の土地の所有」「外国人のビザ・労働許可の便宜供与」があり、ほとんどのタイに進出している外国企業が申請しています。
奨励特典は事業プロジェクト毎に異なり、査定結果により定められます。地域間格差の是正および環境保護の観点からバンコクから離れた地域および工業団地内に立地するプロジェクトにより有利な特典が付与されます。
主に製造に関わるBOI認可業種に与えられる特典で、当該事業によって得られた利益に対する法人所得税の免除もしくは減税という特典です。
事業所の立地(4箇所ゾーン分けされている)及び工業団地内外によって所得発生以降3年から8年間の免税もしくは減税となります。
BOI認可を受けた業種で使用する輸入する生産機械・設備の輸入税が減免されます。免税率は立地により異なり、ゾーン3については100%免税、ソーン1と2については税率10%のもののみ50%減税されます。
輸入後に加工して輸出する製品の原材料もしくは半製品の輸入税が免税されます。輸入税免税期間は立地によって異なりますが、BOIに延長申請をすることで期間の延長が可能です。
また輸入税相当分の保証金の支払いまたは銀行証明は不要です。
使用年数が10年を超える中古機械の輸入については能力の証明書やBOIへの別途承認が必要です。
タイの土地法により外国資本が49%以上の会社は土地の所有が禁止されていますが、当該事業用の土地であれば土地所有が認められます。
⑤外国人のビザ・労働許可の供与
通常の外国人就労許可では就労ビザは大使館および入国管理局にて申請し、労働許可証については労働局にて申請しますが、BOI認可企業はBOIワンストップセンターにて一般より簡素化した手続きで取得することができます。
外国人の所属枠もBOI認可業種によっては一般の条件より緩和されます。
⑥外資資本規制の緩和
BOI奨励対象業種のうち農業・漁業・鉱業・サービス業の一部を除く場合は外資100%もしくは外資50%以上が認められています。
1, 当初の投資金額は100万バーツ以上であること (土地代、運転資金を除く)
2, 操業当初の負債は登録資本金の3倍以下であること
3, 近代的な生産方法および新しい機械を使用すること
4, 販売(卸)価格の20%以上の付加価値をつけること
5, 1000万バーツ以上の投資の際には操業開始から2年以内にISO9000もしくは相当の国際基準を取得すること
6, 申請段階では個人で申請可能だが、正式に認可を受けるまでに法人を設立すること
7, 登録資本金は100%払い込むこと
BOI投資申請開始からBOI奨励証書の受理まで6ヶ月程度必要です。したがって早い時期から現地コンサルタントおよびBOI事務局にコンタクトをとることをお勧めします。
1,BOI事務局への相談
2,申請書の提出
3,審査担当官との面接(申請提出から15日後)
4,BOI事務局 (投資額4000万バーツ以下) またはBOI委員会 (投資額4000万バーツを超える) にて案件の審査 (60日以内)
5,認可通知書の受理 (承認後7日以内)
6,受理回答書の送付 (認可通知書受理から1ヶ月以内)
7,会社設立 (個人で申請を行った場合)
8,奨励証書発給申請
9,奨励証書の受理
10,各種申請・・・機械および原材料の輸入承認申請、外国人従業員のポジション申請など
11,工場建設と機械搬入申請
12,工場稼動開始報告
555 Vipavadee-Rangsit Rd Chatuchak, Bangkok 10900
電話番号:02-537-8150
東京事務所
〒107-0052 東京都港区赤坂2-11-3 福田ビルウエスト8階
電話番号:03-3582-1806
大阪事務所
〒541-0056 大阪市中央区久太郎町1-9-16バンコク銀行ビル5階
電話番号:06-6262-9226
ワンストップサービスセンターとはBOIの認可取得企業を対象に、ビザおよび労働許可証発行のサービスを行なっている機関で、入国管理局と労働局の両スタッフを常駐させることによって、申請時に必要な書類が揃っているという条件の下で、ビザまたは労働許可証の申請・更新を1日で行なうことができます。
Rasa Tower 2, 16th Floor, 555 Phaholyothin Road,
Chatuchak, Bangkok 10900 Thailand
TEL : (662) 937-1155
FAX : (662) 937-1191
タイの政府が海外の投資を促進するために様々な優遇措置を与える認可の審査機関のことで、認可を受けると輸出目的の製品の原材料の輸入関税免除や法人税免除などの特典があります。
タイ国内に工場を持つ製造業や、輸出品取り扱い商社、コールセンターなどの政府の誘致促進業種などタイで大量の雇用を創出する業種や輸出拡大や外貨獲得に貢献するものが対象になります。
以下の内容はBOI日本語ページより抜粋しました。
英語とタイ語が裏表になっているので日本人は英語を使用すれば良い。事前調査が終了、事業計画が出来上がっておれば、それを申請書に移し換えることで申請書は出来上がる。申請人は、まだ現地法人ができていない段階が普通であるので個人名となるのが通常で、タイの居住者を連絡人として記載する。 BOI の連絡は全て連絡人へ行くことになる。
申請書は日本の場合東京にある BOI の事務所へ提出しても、本部の総務部でも地方事務所で提出してもよい。
申請書には、製造品目のカタログ、会杜概要などを添付するほか、申請書に記載しなければならない工程表を添付すること。この工程表は奨励を受けたあと守ることが義務付けられているので、材料の入荷、検査から製品の検査、出荷までもらさず記入しておくこと。
また、機械の導入はこの工程表に必要なものが許可されるのであるから、工程表と機械の整合性に注意すること ( 工程表で必要とされない機械の減免輸入は認められない ) なお、環境を汚染する恐れのある事業については、付録11の「初期の環境負担調査結果報告書」を申請書と同時に提出しなければならないので注意すること。
また、 10 年を超える中古機械は原則認められないが、審査により認められることもる、その場合、機械の能力証明書も投資奨励申請書と同時に提出しなければならない( 10 年を超える中古機械の扱いについては 19.の(2)中古機械の使用に関する規定を参照)。
申請書が受理されたあと、直ぐにインタビューの通知が、申請書の提出者に手交されるか申請書に記載されたタイ国内連絡先へ送付される。申請者は通知書に明記された部署と連絡し、審査担当官とアポイントをとり申請書受理から原則として 2 週間以内にインタビューを行う。
インタビューの目的は、委員会へ案件を上げるため、申請書では不十分な情報を得ることで、製品の詳細、製造工程など技術的なことや申請者 ( 会社 ) の現在の事業内容を約 2 時間ほどヒアリングされる。従って、申請者が十分に答えられない場合は、技術者も同行することが望ましい。
審査担当官による案件の詳細レポートができあがると、委員会に提案され、審議される。 この場合、投資額により次の委員会で審議される。
(イ)投資額 4 千万バーツ以下 (土地代と運転資金を除く) 一 BOI 事務局の内部委員会
(口)投資額 4 千万バーツを超え、 5 億バーツ以下 (同上) 小委員会
(5 億バーツを超えても輸出 80% 以上の場合は小委員会 )
(ハ)投資額 5 億ハーツ以上で輸出 80% 以下 (同上) 本委員会 (首相が議長)
以上の (イ) と (口) は毎週開催され、(ハ) は原則毎月1回である。
申請書受理から審査認可までの期間は、(イ)と(ロ)の場合 60営業日以内、(ハ)の場合は 90営業日以内と定められている。
委員会で認可されると、その旨文書により、代理人を通して通知される。文書の内容は BOI の政策による特典と条件が記載されている。タイ語である。この通知を受け取ってから 1 ヶ月以内に通知書の内容に同意するか、しない旨の回答を行う必要がある
( 様式あり、期限延長可 ) 。
通知を受け取ったら、早急に日本語または英語に翻訳して、内容を確かめ、恩典、条件がすでに理解しているものと異なる場合は、回答を保留して、文書で問い合わせることが必要である (特典と条件はゾーン、業種により定めてあるので食い違いがあることは余りない)。なお、認可通知書には以下の書類が添付される。
1,認可受理の回答フォーム
2,認可受理回答期限延長の申請フォーム
3,奨励証書 (Promotion Certificate) 発給申請フォーム
4,輸入品梱包に輸入税等減免特典を受けることを表示する荷印の通知
5,機械輸入に関する告示 (46/2534(1991 年)、Por.3/2545 (2002 年) 」及びタイで製造できる機械・設備リスト
6,法人所得税免税の特典を使用する前の事業実績の報告の方法について
7,電子システム (MCTS) による機械品目表承認の基準と方法
8,必要インフラ、人材に関する調査表
通知書に対する回答が終われば次に正式の奨励証書を発給してもらうための申請を行う。
奨励申請は個人でも良かったが、 BOI の奨励事業は法人により営まれることが条件になっているので、現地法人の責任者名義で申請することが求められている。
従って、 BOI への奨励申請と平行して、現地法人設立事務を進めておけば、時問の節約となる。
この段階で、資本金の払込みは会社法により各株式の額面の 4 分の 1 以上で足りるが、 BOI 認可企業の場合、操業開始までに各株式を全額払込むことが要求されるので注意すること。
奨励証書発給申請は奨励認可を引き受けると回答した日より 180 日以内に行う必要があり、奨励証書の発給は、通常発給申請から 10 営業日以内である。
奨励証書発給申請書に必要な書類は以下の通り。
1,奨励証書発給申請書 (BOI 様式 FOS CT 21)
2,法人登記簿謄本 ( 登記事務所が証明した定款、株主リストを含む )
3,法人登記証明書 ( 上記登記簿と対になっている )
4,増資の場合の法人登記簿謄本 ( もしある場合 )
5,(タイ商務省の) 会社株式投機事務の保証書
6,海外からの資金送金を証明する書類 ( 外国からの資本がある場合 )
7,合弁事業契約、技術援助契約、その他の援助契約 ( もしある場合 )
8,記入済み必要インフラ、人材調査票
外国人が合法的にタイに長期間滞在し、働くことができる。(就労ビザ取得・労働許可証取得)外国人が合法的にタイにて店舗・会社などをの資産を所有し、権利を主張できる。(不動産については別途条件あり)
タイ国内にて有効な領収書を発行できる。(合法的に商行為が出来る)
利益を合法的に海外に持ち出すことが出来る。(外国人出資割合の範囲で)
タイ国内で社会的信用が(多少)できる。
使った経費にかかるVATの返還を受けることができる。
個人事業に比べて経費を認めてもらいやすい。
毎月および毎年1回の経理報告義務が発生する。
維持費用がかかる。(以下参照)
タイ人の株主(出資者)が必要になり、タイ人の影響力が発生する可能性がある。
毎月の費用/項目 | 金額 (バーツ) |
---|---|
会計処理費用 | 6,000 |
日本人の給与所得税 (給料50,000バーツの場合) | 2,900 |
タイ人従業員の社会保険料 | 2,460 (最低) |
計 | 12,160 |
年間 | 136,320 |
年間の費用/1-1項目 | 1-2金額 (バーツ) |
---|---|
2-1年度会計締め費用 (年商200万バーツ以下の場合) | 2-220,000 |
3-1従業員傷害保険 | 3-22,000 |
4-1ビザ延長費用 (延長申請料+代行手数料) | 4-222,000 |
5-1労働許可証期限延長(延長申請料+代行手数料) | 5-2115,000 |
6-計 | 6-259,000 |
7-1年間維持費用合計 | 7-2204,920 |
※日本人のビザ・労働許可証を維持するには年間60万バーツ以上(日本人給料相当額)の年商(利益ではない)が必要です。
もし1年間の収入が全く無い場合は架空の収入の領収書60万バーツ分を発行し、それにかかわるVAT (付加価値税7%)の42,000バーツの納付が必要です。
※売り上げのすべてが外国に対するサービス料という名目ですとVAT7%を払う必要はありません。
タイは気候が温暖で物価も安く長期間の滞在を希望する日本人も多いですが、タイに30日以上連続して滞在するには何らかのビザの取得が必要です。
ロングステイビザ(リタイヤメントビザ)が取得できない50才以下の方もしくはタイ人配偶者がいない方向けに会社を設立し就労ビザ・労働許可の取得という選択肢を提案いたします。
ただ会社登記や労働許可取得により給与所得税の支払いなど費用がかかるため、無条件にお勧めするわけではありません。
近いうちにタイで起業するための調査段階の方
タイで滞在しながら何か商売を検討している方
経済的に余裕のある方
お子様が日本人学校に通うために労働許可が必要な方
会社や労働許可証があるため、すぐにでも実際のビジネスへの展開が可能
労働許可証があるのでタイの民間の医療保険に加入や運転免許証取得、銀行口座開設が可能
個人名義では難しい月極めの携帯電話加入、直通電話やハイスピードインターネットの契約が可能
割安な長期間の車のリースが可能 (短期間だとパスポートのみでレンタル可能)
タイの政府としては、タイの税収・雇用に貢献してくれる外国人に1年ビザを与えるという考え方です。したがって給与所得税、社会保険料などタイの役所に支払う金額は年間で10万バーツ近くになります。(さらに会社設立費用や弊社の手数料を考えると20万バーツ以上となります。) 観光ビザを取得するために近隣国に出国(期限が90日なので年4回)しても旅費は10万バーツもかかりません。したがって単にビザだけの目的でしたらロングステイのための会社設立はお勧めできません。
①会社所在地の決定
投資能力のある(銀行残高が出資額以上必要)
以前の規制強化では6ヶ月間口座内にある必要があったが、緩和されて会社設立期間中にあれば可能
②タイ人発起人(出資者)の選定
投資能力のある(銀行残高が出資額以上必要)
類似社名があれば却下されるので3つ候補を選定
※以前の規制強化では6ヶ月間口座内にある必要があったが、緩和されて会社設立期間中にあれば可能
③会社名の予約
会社代表予定者の名前で会社名予約申請。
類似社名があれば却下されるので3つ候補を選定
※会社名の後ろに(Thailand)がついてもつかなくても同じ社名として扱われます
④発起人申請(会社設立第1回申請)
会社の発起人のサインや社名・社印の申請
⑤会社設立申請(会社設立第2回申請)
取締役会議事録や出資証明を提出し手続き完了 (第1回申請の当日または9日以上後に申請可能)
⑥会社の法人税登記
会社の納税番号の申請。会社看板・写真・賃貸契約書などが必要
⑦VAT(付加価値税:日本の消費税にあたる)事業者登録
必要書類は法人税登記とほぼ同じ
⑧会社名義の銀行口座開設
⑨就労ビザの申請
⑩労働許可証の申請
①資本金を決める 日本人社員1名:200万B 2名:400万B
②社名を決める 候補名3点 → 現在使われていないかチェック(15分)
③所在地を決める(決まっていなければ名義貸し) 賃貸契約書、家主IDカードと該当地住民票のコピー
④株主3名(日本人39%、タイ人61% → 名義貸し可) パスポートとIDカードのコピー
⑤代表者(サイン権利者)※設立書類作成上でのタイ人代表者 住民票(タビアンバーン)
⑥業務内容(定款)
⑦印章デザイン 会社の設立完了/所要2~3日
⑧税務(VAT)登記/所要3日
⑨Bビザ取得 パスポート、4×6写真2枚、大学卒業証明書/所要5~10日
⑩1回目の税申告(会計)⑪ 従業員4名以上のIDコピー、社会保険の登録/所要2日
⑫労働許可証取得 パスポート、3×4の写真3枚、健康診断書/所要10日
⑬サイン権者変更 本人(日本人)に移行
⑭株数変更 日本人49%、タイ人51%
⑮銀行口座開設(日本人名義)/所要3日
発起人は3名必要 (2008年7月1日以降) で、それぞれ1株以上所有する必要があります。海外及びタイの法人は株式を所有することはできますが発起人にはなれません。
タイ人の発起人の数は1名以上いれば可能 (日本人2名、タイ人1名です。)
発起人は3名以上でも可能です。
使用できない会社名があります。許認可業関係の単語については認可を得てから商務局本局に申請すれば可能です。会社名予約にあらかじめ許可がひつようなものの例として
人材業関係・・・・・Recruitment,Manpower,Placement,Staff,Agency
金融関係・・・・・Bank,Finance,Trust,Money
教育関係・・・・・School,institute
社名予約の際は以下のように社名に加えてタイランドを前後どこに付け加えても、株式会社を表す「COMPANY LIMITED」表記を変えても同じ社名「ABC」と判断されます。
「Thai ABC Co.,Ltd」「Thai ABC limited」「Thai ABC Ltd」
「ABC Thai Co.,Ltd」「ABC Thai limited」「ABC Thai Ltd」
「ABC (Thailand) Co.,Ltd」「ABC (Thailand) limited」「ABC (Thailand) Ltd」
「Thailand ABC Co.,Ltd」「Thailand ABC limited」「Thailand ABC Ltd」
会社の代表権すなわち意思決定を下す際のサインをする権限は単独(1名)もしくは複数にもたせることができます。
1.代表者1名で1名のサインで成立
2.代表者2名以上でどちらか1名のサインで成立
3.代表者2名以上で複数の連名のサインで成立
2008年4月時点での労働局・入局管理局の見解では代表権(サイン権)を保持することは就労行為とみなされますが、複数の外国人代表者の場合は、タイに常駐する代表者のみが労働許可証を取得すればよいとされています。
したがって資本金額は常駐の代表権者を含めた外国人の人数×資本金200万バーツが必要です。
したがってたとえば代表者2名うち1名は日本本社の代表、1名はタイ現地法人の実質代表の場合は、会社の資本金は200万バーツとなります。
会社設立申請では会社の業務内容によってサービス、販売、生産などにそれぞれに20~22項目の業務内容が自動的に付加されます。
実際に主に行う業務があらかじめ付加される業務内容に無い場合は23項目目以降に付け加えます。
1,資産とその利殖の購入、調達、受け取り、賃貸、リース、占有、所有、改善、使用または他の運営
2,資産の売却、移管、質入れ、抵当、交換、または他の処分
3,保険、協会会員斡旋、証券取引を除く事業の仲介、ブローカー、取引代理
4,銀行業、金融業、クレジットフォンシエー業を除き、担保を問わない銀行、企業、他の金融機関からの借り入れ、当座貸越、また貸し付け、信用、手形や可換証書の受け取り、発行、譲渡、裏書
5,国内外の支社または代理店の設置
6,有限会社の有限責任株主、また株式会社・上場会社の株主
7,ビル、商業ビル、住宅、事務所、道路、橋梁、ダム、トンネル、他の建設の請負、また土木業請負
8,ホテル、レストラント、バー、ナイトクラブの事業
9,人間・物品の陸水空の輸送・運搬の国内外事業、関税払い出し業、船荷シッピング業
10,観光および観光案内の事業
11,農業、工業、商業、金融、営業収集、まとめ、作製、発行、配給、また事業分析・評価の事業
12,法律、会計、工学、建築、広告のサービス事業
13,債務、責任、契約履行、また入国法、税法などの入出人物の保証サービス事業
14,商業、工業、生産、営業、販売のコンサルタント、指導の事業
15,収益の管理、監査、運営、利殖のサービス事業
16,私立病院、医院、治療・看病、医学・保険学上の教育訓練の事業
17,映画製作・配給、映画館、劇場、リゾート、運動場、プール、ボリング場の事業
18,交通機関の修理、保全、点検、注油、錆び止め、また災害防止機器の設置、点検、修理の事業
19,ランドリー、床屋、パーマ、美容の事業
20,写真・書類のDPEの事業
21,マッサージ浴場の事業
22,人物、団体、企業、役所、公的機関への事業目的商品の入札販売
タイでの会社設立はタイ語で申請書を記入して決められた書類と申請料を払えば一般のタイ人でも会社設立は可能です。しかし素人もしくは外国人のビザ・WPの知識がない者が手続きした会社ではその後の労働許可証の申請、就労ビザの延長申請までかなりの確率で問題が発生しています。
弊社には会社を設立したが労働許可証が取れない、ビザが延長出来ない、自分は代表では無かったなど数多くのトラブルの後始末の依頼が絶えません。
それは労働許可証の取得などが難しいのではなく設立した会社の内容に問題がある可能性が高いからです。
1.出資金割合
タイの場合、資本金の分割払い込みで会社設立が可能です。設立当初は最低、資本金額の25%の出資があれば設立可能ですが、資本金額が全額払い込まれていない(と登記書類に記載されている)会社には外国人の労働許可は下りません。
2.VAT事業者登録
商法では年商が180万バーツ以下の会社ではVAT(付加価値税:日本での消費税)の事業者登録の必要はありませんが、VAT事業者登録をしていない会社には外国人の労働許可は下りません。
3.許認可業種
法人税登記の際に申請した事業内容に許認可業種 (学校・マッサージ・リクルート・医療品取り扱いなど) が含まれている場合は許可証を取得していない段階で外国人の労働許可は下りません。
許可が下りるまでは別の業種で登録し、許可取得後に事業内容に加えます。
4.資本金額
外国人が会社に在籍する人数×200万バーツの資本金額が必要です。在籍=就業ではなく、代表者で非常勤で無報酬であっても間違いなく在籍には変わりないので資本金額が200万バーツの会社で複数の外国人が所属する会社には労働許可は下りません。
資本金200万バーツで外国人が2人在籍する会社は違法状態なので1人目の申請を受け付けてもらえません。
5.法人税登記
会社設立後30日以内に法人税登記が義務付けられています。30日を過ぎると罰金の対象になります。労働許可証の申請も当然できません。
6.会計締め期日設定
会社設立時には年度会計締めの期日が設定できます。年末もしくは年度末に設定する必要は無いので会社設立日から1年後に会計締め日を設定しないと後々問題になります。
初年度の売り上げ額 (利益ではない) が外国人の1年間の給料額を下回った場合、就労ビザの延長申請が認められません。
仮に設立が10月で、会計締めを12月末に設定すればたった3ヶ月で60万バーツ (給料5万×12ヶ月) 以上の売り上げを上げるの現実的に厳しいです。
入国管理局にて前年度の会計報告書を提出を求められ、売り上げ高が所属外国人の年収を超えているかをチェックされた際に、起業後3ヶ月で会計締めをしたので売り上げが規定(所属外国人の年収額)に満たないのは仕方が無いと説明しても「いつ会計締めをしても勝手だが売り上げ額が規定に満たないものは受理できない」と却下されてしまいます。
7.資本金額その2
外国人が所属する会社は会社資産が100万バーツを下回ってはいけないと入国管理局が指導しています。
資産は現金でなくても設備や在庫でもかまいませんが、会計報告上では会社資産が100万バーツ以上ある体裁にする必要があります。
資本金-累積赤字>100万バーツをクリア出来ない場合には以下の方法をととる必要があります。
①当初に余裕を持った資本金設定
②途中で増資を行う
③経費の計上を減らして赤字額を少なく申告
④架空の領収書を発行し、売り上げ(利益)を多く申告
タイでは日本同様に個人又は法人が利益を得た場合に利益に対して税金を払う義務があります。ここでは日本に似た税金について解説します。
法人が得た利益に対する税金で、期末決算と中間決算の報告の際にあがった利益に応じて納める税金です。タイの法人税率は30%ですが、資本金500万バーツ以下の中小企業に対しては利益額に応じて15~30%の累進課税とする優遇措置がとられています。
利益額 | 資本金500万B未満の会社 | 資本金500万B以上の会社 |
---|---|---|
15万バーツ以下 | 非課税 | 30% |
150,001~100万バーツ | 15% | 30% |
1,000,001~300万バーツ | 25% | 30% |
300万バーツ超 | 30% | 30% |
資本金200万バーツの会社が今年400万バーツの利益をあげた場合を例に計算してみます。 資本金200万バーツの会社は資本金500万バーツ以下の中小企業の優遇税制の対象となるため以下のような計算になります。
対象額 | 税率 | 対象金額 | 課税額 |
---|---|---|---|
150,000バーツ以下 | 非課税 | 150,000バーツ | 0バーツ |
150,001~100万バーツ | 15% | 850,000バーツ | 127,500バーツ |
1,000,001~3,000,000バーツ | 25% | 2,000,000バーツ | 500,000バーツ |
3,000,001バーツ以上 | 30% | 1,000,000バーツ | 300,000バーツ |
合計金額 | 927,500バーツ |
※上記の表からこの会社の納税金額は 927,500バーツとなります。
中小企業=期末の払込資本が500万バーツ以下で、かつ売上高3,000万バーツ以下の会社
利益額(バーツ) | 中小企業 | 大企業 |
---|---|---|
150,000まで | 非課税 | 23%(20%) |
150,001~1,000,000 | 15% | 23%(20%) |
1,000,001~(2013年1月1日以降) | 23%(20%) | 23%(20%) |
日本の消費税にあたる税金でValue Added Taxを省略して一般にはVAT(ブイエーティーもしくはバット)と呼ばれています。
タイ国内で商品やサービスに対してかけられ、消費者が負担することになります。税率は商品の価格に対して7%です。(本来10%だった税率を景気対策として暫定的に7%に下げられています)
年間180万バーツ以上の売り上げのある企業はVATの事業者登録を行い、販売する商品に上乗せして購入者から徴収し、前月徴収したVAT額を翌月15日までに税務署に納めることが義務付けられています。
事業者は仕入れにかけられたVATを販売した商品にかけたVATと相殺することが出来ます。
仕入金額 5000バーツ+VAT7%として350バーツ
販売金額 10000バーツ+VAT7%として700バーツ
上記の場合、お客様から700バーツをVATとして預かったのですが、仕入れや経費にかかるVATと相殺することができるため、税務署に納めるのは 700バーツ – 350バーツ = 350バーツ となります。
・海外に提供するサービス
・海外に販売する物品
・免税地区にある会社に販売する材料・設備
・リース料 (家賃・自動車リース)
・国の指定商品(加工されていない農作物、新聞、教科書など
個人が得た収入 (給料・ボーナス、株式配当、家賃収入など) にたいしてかけられる税金で、税率は累進課税で10~37%となっています。日本と同じく配偶者や扶養家族、生命保険などに対しても一定の控除がされます。
対象額 | 税率 | 対象金額 | 課税額 |
---|---|---|---|
100,000バーツ以下 | 非課税 | 100,000バーツ | 0バーツ |
100,001~500,000バーツ | 10% | 400,000バーツ | 40,000バーツ |
500,001~1,000,000バーツ | 20% | 500,000バーツ | 100,000バーツ |
1,000,001~4,000,000バーツ | 30% | 56,000バーツ | 16,800バーツ |
4,000,000バーツ以上 | 34% | 0バーツ | 0バーツ |
合計金額 | – | – | 156,800バーツ |
サービスの種類 | 源泉率 |
---|---|
広告 | 2% |
サービス一般 | 3% |
賃貸 | 5% |
※配偶者はタイで婚姻届がされており、年収が24万バーツ以下であること
※※扶養家族控除は就学前の幼児もしくは就学中であること (大学生まで控除可能)
※※※対象期間が10年以上の生命保険に限ります
個人所得税の課税対象となる収入は年収から控除額を引いたもので、その課税対象分に対して累進課税による税率がかけられます。
(計算例) 給料が10万バーツの従業員で、配偶者と子供が1人いる場合
年収の計算
給料 100,000バーツ × 12ヶ月 = 1,200,000バーツ
控除額の計算
基礎控除 60,000バーツ
本人控除 30,000バーツ
配偶者控除 30,000バーツ
扶養家族控除 15,000バーツ
社会保険控除 750バーツ × 12ヶ月 = 9,000バーツ
合計 144,000バーツ
課税対象額の計算
年収 1,200,000バーツ – 控除総額 144,000バーツ = 1,056,000バーツ
課税対象額は税率によって次のように分解して計算します。
対象額 | 税率 | 対象金額 | 課税額 |
---|---|---|---|
100,000バーツ以下 | 非課税 | 100,000バーツ | 0バーツ |
100,001~500,000バーツ | 10% | 400,000バーツ | 40,000バーツ |
500,001~1,000,000バーツ | 20% | 500,000バーツ | 100,000バーツ |
1,000,001~4,000,000バーツ | 30% | 56,000バーツ | 16,800バーツ |
4,000,000バーツ以上 | 34% | 0バーツ | 0バーツ |
合計金額 | – | – | 156,800バーツ |
上の表で計算したように年間課税額は156,800バーツとなり、毎月に換算すると
156,800バーツ ÷ 12ヶ月 = 13,067バーツ となります。
物品販売でなく、サービスを提供してもらった場合、報酬額をすべて支払わずに一定額を源泉税として支払額から控除してタイの政府に納める税金のこと。
きちんと控除しないと支払いそのものが経費として認められない場合があります。
サービスの種類 | 源泉率 |
---|---|
広告 | 2% |
サービス一般 | 3% |
賃貸 | 5% |
例:10,000バーツの広告の場合の支払い
広告料10,000バーツ+VAT7% (700バーツ) – 源泉税2% (200バーツ) = 10,500バーツ
個人のタイ人に通訳をお願いした場合
通訳報酬5,000バーツ-源泉税3% (150バーツ) = 4,850バーツ
人材紹介会社に紹介を依頼した場合
紹介料10,000バーツ+VAT7% (700バーツ) – 源泉税3% (300バーツ) = 10,400バーツ
20,000バーツの事務所賃貸料の場合 (大家さんがVAT事業者で無い場合)
家賃20,000バーツ – 源泉税5% (1,000バーツ) = 19,000バーツ
タイで設立した会社ばタイの法律・商法の下で運営されます。
国が違えば法律や常識も異なるので、日本人が日本の商法や常識に基づいて感じる危機感がタイでも同じという訳ではありません。したがってタイの商法をご理解していただく必要があります。
タイの商法での株主の権利は以下のとおりです
◆取締役に株主総会を招集要求
◆株主総会の議決に対する投票権
◆株主配当を受ける権利(株主配当を行うかどうかは取締役が判断)
◆会社に損害を与えた取締役を訴える権利
◆会計監査役の選任を要求し会社の帳簿を検査させ、その報告書を請求する権利
日本人経営者にとって会社を乗っ取られる危険性がある株主の権利は上記の2項目です。現在の代表者解任決議や、新たな代表者の追加決議が株主総会にて議決されることは会社を乗っ取られることを意味します。
しかしながらタイの商法では株主総会の成立条件や議決条件を会社定款で独自に定めることが出来ます。
51%の株式を保有するタイ人株主が、日本人代表取締役の意思に反する議決を行おうとすることを防ぐ定款設定を行えばタイ人株主の権限を封じることが可能です。
タイのローカルコンサルタントや日本人が窓口でもローカル丸投げ会社と違い、タイ人株主の権限をうまく封じた定款を設定した会社設立が出来るのは経験・実績のある日系コンサルタント会社だけかと思います。
問題が一切発生しないことを保証することは出来ません。実際の出資を伴わないで、名義だけ貸すことはタイでは禁止されており、最大100万バーツの罰金や法人認可の取り消しの可能性はゼロではありません。
しかし現実問題として現金を直接受け渡ししていないことを実証することは不可能で、名義を貸した本人が出資金額を所持していなかったことを証明することも不可能です。
即ち名義を貸したタイ人が10年以上にわたって秘密でコツコツタンス預金を行っていないことを示す物的証拠はありませんし、そのお金を手渡しで日本人に渡していないことを示す物的証拠もありません。
したがって本人が長年コツコツとためたヘソクリを日本人に手渡しで渡して事業に出資したと証言してしまえば、それを覆すことは不可能で、そのお金は一旦会社に入った後に日本人代表者に貸し付けて現金のまま飛行機で日本に持ち込んでいない証拠も当然ありません。
そもそも名義を貸していない証拠というものは本人の証言以外に存在しえないのです。したがって名義を借りたタイ人に「出資した」と証言してもらえることが出来れば大丈夫です。
さらに名義貸しの有無は会社設立時に出資者名義の銀行口座に出資額以上の現金がある証明の提出をしており、すでに商務局役人によるチェックをクリアしないと法人設立自体が出来ません。
経済発展を優先するタイ政府が日本のしがない中小企業向けに徹底調査および摘発を行うことは考えにくいです。
ただし土地の購入や不動産開発を行う会社に関しては外国人による土地所有を嫌うタイ政府により土地購入に関わる企業はこの限りではありません。
タイで合弁の法人を設立する際には2006年11月よりタイ人出資者の出資証明の提出が必要になりました。当時はタイ人出資者名義の銀行口座に6ヶ月以上出資額以上の金額が連続して存在することが条件でした。
しかしながら現実的に6ヶ月以上資金が無いと会社が設立できないとなると、設立件数が激減し各国より厳しすぎるとクレームを受けたため現在は緩和され、9日間出資金額が存在すれば設立が可能になっています。
通常の株式会社においては、お金があることを証明する機会は設立時と決算期末と2回ありますが、2回とも200万バーツ全額がある必要はありません。許認可取得などを生業としているコンサルタントにとっては、会社設立は難易度の低い作業ですのでご心配には及びません。ただ日本人がタイ語で申請書を作成したり、素人のタイ人を使って設立作業を行うのは大変な時間と労力を費やす作業かと思います。
タイでは日本と異なり会社設立時に資本金額を必ずしも全額証明する必要はありません。会社の出資形態によって異なり、BOI認可や支社については規定金額の海外送金証明や銀行口座証明が必要となります。
通常の株式会社においては、お金があることを証明する機会は設立時と決算期末と2回ありますが、2回とも200万バーツ全額がある必要はありません。
1.設立時にタイ人出資者に出資能力があるか証明
出資予定者であるのタイ人出資者名義の銀行口座に、該当金額があるかどうかあるかどうかを確認します。
この場合、確認されるのは資本金の51%に当たるタイ人出資分だけなので、資本金200万バーツの場合は102万バーツの現金が出資予定者であるタイ人名義の銀行口座にあれば設立可能です。
さらにタイの商法では出資金額の25%の現金があれば設立可能なので、資本金200万バーツの会社設立にはタイ人名義の口座に
200万バーツ × 51% × 25% = 25.5万バーツ
25.5万バーツあれば設立することが可能です。
2.決算時に会社名義の銀行預金残高を証明
決算作業を行う際に決算期末の銀行口座残高証明が必要になります。ただしタイでの決算は日本に比べて厳密ではないので、本来会社にあるべき金額が銀行口座に無かったとしても代表者に短期貸付を行ったとして処理することが可能です。